2022.01.16

Amazon創業者ジェフ・ベゾスと「週刊少年ジャンプ」の考え方には“意外な共通点”があった

Amazonについて書かれた本は無数にあるが、ジェフ・ベゾス自身が株主向けに書いたレターやインタビューをまとめた唯一の本『Invent & Wander──ジェフ・ベゾス Collected Writings』(ダイヤモンド社)が刊行された。

筆者がこの本を読んで思ったのは、ベゾスの考え方と「週刊少年ジャンプ」の考え方がきわめてよく似ている、ということだった。

[PHOTO]gettyimages
 

短中期の赤字は気にしない

ベゾスは言う。

投資に対して100倍のリターンが得られる確率が10パーセントあるとしたら、かならずその賭けに乗るべきです。それでも、10回挑戦して、9回は失敗することになります。いつもフェンス超えを狙っていれば、三振も増えますが、ホームランも何本かは打てるわけです。ただし、ビジネスと野球は違い、野球の場合は結果が切断分布になります。バットを振ったとき、どれほど遠くに飛ばしても得点できるのは4点までです。ビジネスであれば、打席に立つことで、ほんのたまにではありますが1000点挙げることも可能です。 このように、ビジネスではリターンの分布がロングテールであるからこそ、大胆な賭けが大切になるのです。大勝ちすれば、たくさんの実験のもとが取れるというわけです。
(ジェフ・ベゾス『Invent & Wander──ジェフ・ベゾス Collected Writings』(ダイヤモンド社、関美和・訳)206p)

こうした考えに基づき、Amazon社内では無数の新規事業が立ち上げられ、数多くの失敗(赤字事業)を積み上げながらも、まさに1000点と言えるAWSのような鉱脈を引き当てることに成功した。

これのどこが「ジャンプ」と似ているのか。

ネーム作成サービス「World Maker」ローンチ時の林士平・「少年ジャンプ+」副編集長のインタビューから引こう。

人材の確保のような意図はまったくないですね。一応、最初に企画を通した時のロジックとしては「1人の天才が生まれたら、この程度の投資は一瞬で回収できる」でした。才能に投資している会社なので、誰も否定できないかなと(笑)。
「「少年ジャンプ+」のヒットメーカーが語るデジタル時代の“マンガ化”のチカラ 誰でも漫画家になれるサービス「World Maker」とは?」

「ジャンプ」は基本的にこういう思考だ。

ほかにも筆者が「ジャンプ」編集部の齋藤優氏と「ジャンプ+」編集部の籾山悠太両氏に行ったインタビュー(「『鬼滅の刃』『呪術廻戦』…「ジャンプ」だけが“圧倒的一人勝ち”している「納得の理由」」)においても、ほかのマンガ編集部の追随を許さないほど新人賞の数や読み切り掲載作品数が多く、新人に投資していることに関して

――なぜそこまでたくさん新人への投資ができるのでしょうか?

齊藤 
理由はひとつ、その中から一人でも将来大ヒット作家が生まれればいいと考えているからですね。

との返答があった。

どれかひとつ大きく当たればほとんどの投資が回収できるのだから、失敗をおそれずホームラン狙いで打席に立ち続ける。そして無数の投資のなかからひとつ大ヒットが生まれて大きな収益を得ると、それをさらに次の事業/才能に惜しみなく投資して好循環を作り出す。この点で、両者は似ている。

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