2022.01.12
# 企業・経営

「円安はいいもの」という思い込みを続けていると、日本が「大変なことになる」理由

加谷 珪一 プロフィール

こうした環境下において円安が進んだ場合、工業化時代とは異なり、明らかにデメリットの方が大きくなる。すでに食品の値上がりなどを通じて実感していると思うが、為替が安くなると輸入品の価格が上昇するので消費者の購買力は下がる。

製造業が活発だった時代には、輸出企業が国内での支払いに対応するため、代金として受け取ったドルを円に両替する必要があった。このため為替市場には常に円買い需要が存在していたが、今ではそうした実需買いは存在していない。加えて日本の国力低下に伴い、ドル下落の際の代替保有価値もなくなっており、ここでも円は買われなくなっている。

 

短期的な為替の動向を予測するのは難しいが、円高になる要因があまり見当たらないことから、長期的には円安が進みやすいのは間違いない。

製造業の実力低下が現実である以上、円安になれば日本経済に利益がもたらされるという従来の概念は捨て去り、日本は今後、どのような手段で成長を実現するのか真剣に議論していく必要がある。その方向性が決まらない限り、どの程度の為替レートが妥当なのか判断することも難しいだろう。

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