妻を追い込んだ自分をふりかえる

子どもの面会交流で、元妻が家に子どもを送ってきたときに、そのチャンスが巡ってきた。子どもを先に家に入れ、元妻にこう言った。

「母親が子どもと離れて暮らすというのは、世間的にも心情的にもつらいだろうと思う。こんな状況にしてしまって、ごめんね」

心から素直にそう思えていたわけではなかった。半ば無理やり口に出した。でも、口に出してみたら、不思議と腑に落ちた。 

そこから、元妻への怒りがするするとほどけていった。浮気して、子どもを捨てて、頭がおかしいのではないかとすら思っていたが、そこまで追い込んだのは誰なんだ? 自分がもう少し大人だったら。単身赴任をしていなかったら。

妻が一人でやってきたことをやり、気づいたことはたくさんあった Photo by iStock
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「サクッと謝っただけだから、あちらは謝られたと気づいていないような気がします。その後も、僕を嫌がって避けようとする態度は変わりません。でも、僕の中では確実に何かが変わりました

隼人さんの夢は、年に一度でいい、家族みんなで食事をする機会をつくることだ。いまは元妻の拒否感が強く、実現できないでいる。でも、人間関係は、自分が変わると相手も変わる。間もなく雪解けが来そうな気がする。

自宅でなくてもいい。家族皆でまた食事ができるときが来たら――隼人さんの変化は、きっと元妻にもいつか伝わるはずだ Photo by iStock
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