「自分の方が大変だ」と思っていた

でも、当時、隼人さんは元妻を思いやれていなかった。
「僕は転勤したばかりで、新しい職場に慣れるのに苦労していたし、社内試験を受けるための勉強にも追われていました。そんな僕に元妻は、だからってえらそうにしないでよ、という態度。要は2人とも、自分のほうが大変だ、自分のほうが頑張っているって、マウントを取り合っていたんです」

夫婦の気持ちはすれ違うばかり。土日に家に帰っても、正直、楽しくなかった。子どもを連れて買い物やレジャーなどに出かけ、家族らしく過ごしていたが、夫婦で話すことはなかったような気がする。

週末に帰ると子どもを連れて外出はしていたのだが…Photo by iStock
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それでも、隼人さんはどうしても離婚を避けたかった。
「元妻が好きとか子どもがめちゃくちゃかわいいとかそういうのではなく、『家族』を手放したくなかったんです」

隼人さんはもともと、とくに欲しいものがあるとか、やりたいことがあるタイプではなかった。働く意味を見失いがちななか、「家族のために」という理由があれば頑張れると思い、早めの結婚をしたのだと言う。友だちと濃い付き合いもしていなかったので、唯一の絆が家族だった。だから、離婚して家族を失ってしまうと、働く意味も生きている意味もなくなると思った。

「親権は母親が有利だし、僕は単身赴任もしているから、親権を取ることはまず、無理でしょう。そうなったら、人生終わりだな、と」