メラノサイトは毛根の最深部にあり、髪の毛を作る毛母細胞にメラニン色素を受け渡している。メラニン色素により髪は黒くなる。
「何らかの原因でメラノサイトの機能が低下したり、メラノサイト自体の絶対数が減ることでメラニンが作られなくなると髪の毛に色がつかなくなります」
メラノサイトの機能を低下させる原因は3つ、環境、遺伝的な要因、加齢である。
「喫煙や睡眠不足、ストレスでも血液の循環が悪くなってメラノサイトにダメージを与えることがあります」
白髪は再び黒くなるのか?
ではタバコをやめたり睡眠を良くとるなどして血液循環が正常になれば、白髪は再び黒くなるのだろうか?
「白髪には休止型と欠失型があり、休止型はメラノサイトの機能が一時的に止まった状態で、欠失型ではメラノサイトの絶対数が減ります。そのため、休止型であれば再び黒髪に戻りますが、若白髪も加齢による白髪も特定の遺伝子が関係しています。こちらは欠失型であり、自然に元に戻ることはありません」
再生医療によりメラノサイトを増やせる可能性はあるが、現状では戻らないと思って間違いない。
「髪の毛はだいたい約4~6年で抜け落ちますが、その時にメラノサイトも一緒に抜け落ちます。若い時は生えてくる時にメラノサイトが再生しますが、加齢によって白髪が増えるのはメラノサイトが再生しないためです。メラノサイトを再生させるには老化を遅らせるしかなく、生活習慣の中で若さを維持する必要があります」
薄毛も白髪も基本は同じ。活性酸素を作る紫外線を避け、緑黄色野菜のような抗酸化物質を含んだ食品を食べ、規則正しい生活を送ることになる。
「髪の毛の主成分はケラチンというタンパク質で、重要な構成要素となるのがL-リジンとチロシンというアミノ酸です。L-リジンは肉や卵、大豆に含まれ、チロシンはメラニン色素の原料になり、チーズや大豆に多く含まれています。また髪の毛の成長に重要な働きをするのがアルギン酸と亜鉛です。海藻をとったら髪にいいと言われるのはアルギン酸が含まれているからです。アルギン酸には髪を保護する作用があります。亜鉛は髪の毛の主成分であるケラチンを合成する働きがあり、魚介類やナッツをとると良いと思います」