新型コロナショックが引き起こす「長期的危機」の可能性

「パニック」よりも「長引く停滞」に

世界中でさまざまな混乱を引き起こした新型コロナウイルス。この感染症による危機は、果たして次の国際金融危機につながるのだろうか?

世界史の中で起きたさまざまな金融危機の裏にあるストーリーから国際金融の基礎知識を描き出した話題書『教養としての金融危機』著者が、未来に起こり得る金融危機を検討する。

新型コロナ危機

新型コロナのパンデミックが世界史に残る出来事であるのは間違いありません。それは多数の人々の生命を奪った社会的危機であり、国民の間に分断を生む政治的危機であり、そして移動の自由の制限から経済活動を急減速させた経済危機でした。これから人類は、新型コロナと共存する「ウィズコロナ」の時代に入ると言われていますが、その過程で国際金融危機が起こるとしたら、どのようなものとなるでしょうか?

新型コロナ危機勃発後、主要国はそれが経済・金融上の危機とならないように政策を総動員しました。

金融政策では、各国で市場からの債券購入や企業の資金繰り支援が行われ、FRBやECBはインフレ目標の定義を変更して、一時的に2%を超えるインフレを容認する姿勢を打ち出しました。なお、FRBは、GFC*のときと同様、主要国の中央銀行にドルを供給するスワップ取り極めを発動しました。
*GFC:Global Financial Crisis(世界金融危機)の略で、日本で「リーマンショック」と呼ばれる2008年の金融危機のこと。

財政政策では、医療体制の強化や失業対策、企業への補償等を行って、世界的な恐慌を防ぎました。財政赤字は急拡大しましたが、世界的な金融緩和のおかげで国債の消化に大きな問題は生じていません。

また、G20では、2020年5月から、貧しい債務国からの公的債務の返済を一時的に免除しています。適格73ヵ国のうち40を超える債務国が、2021年末までに100億ドル以上の債務返済を先延ばしする恩恵を受けました。

これらの政策的なサポートは、「ウィズコロナ」に向かって、段階的に後退していくはずです。その過程では、どのようなリスクがあるでしょうか?

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