格闘技の新しいビジネスモデル
――佐藤さんから見た2021年、格闘技シーンはいかがでしたか。
佐藤:格闘技はどうだろう、プチブームっていう感じかな。かつての「PRIDE」や「K-1」のように、東京ドームが満員になって、大晦日のゴールデンで視聴率20%っていう規模ではないけれど、それなりに注目は集めていた。地上波の放送が少なくなり、外国人選手が参加しなくなり、別の楽しみ方になって、違う世界線に突入したんだろうね。
藤井:いまの時代の国内のシーンが出来上がりつつありますよね。やんちゃな子たちが集まってくるような。
佐藤:アウトサイダーからの流れでね。メディアとしては、いまは完全にYouTubeとともにあるよ。選手たち個人のYouTubeチャンネルがあって、それぞれにファンがいて、それらの集合体、大きなお祭りとして「RIZIN」がある。
そういう流れのなかで集大成的だったのは、朝倉未来と萩原京平が対戦した10月の「RIZIN LANDMARK」かな。無観客の配信イベントだったんだけど、U-NEXTのサーバーがダウンして、2時間押しで始まるっていう。配信チケットもかなり売れたので、そういう手応えはありました。
TaiTan:コロナの影響で、試合ができない時期もあったんじゃないですか?
佐藤:もはや選手たちもファイトマネーだけが収入源じゃないからね。YouTubeなり別のやり方で収入を得るようになったのは、ここ何年かの大きな変化だね。
藤井:大会に出ることで人気を獲得して、そこから選手個人のファンになってもらい、そのファンが試合も観るっていう、いい循環ができてきましたよね。
佐藤:うん。経済が回る新しい仕組みができたのはよかった。