2022.01.19
# エンタメ

『RIZIN』『大豆田とわ子』『蓋』が残した爪痕…一億総発信時代における「文脈の作り方」

格闘技のイベントにおいて、選手が入場する際の映像に物語と時代性を落とし込む「煽りV」を構築した佐藤大輔。TBSのプロデューサー・演出家として、『水曜日のダウンタウン』をはじめ、『オールスター後夜祭』や『クイズ 正解は一年後』などでテレビバラエティの拡張と更新を続ける藤井健太郎。そして、3人組ヒップホップユニット「Dos Monos」のラッパーとしてだけでなく、テレビ東京の番組『蓋』を上出遼平氏と共に企画するなど、クリエイティブ領域での活動も目立つTaiTan。ジャンルを越境しながら、各界の才能とコラボレーションを仕掛ける3人が集結し、2021年を振り返る。(第2回/全3回)

第1回:『水曜日のダウンタウン』と格闘技「煽りV」をめぐる、テレビ局員の分かれ道

TaiTan、佐藤大輔、藤井健太郎(左から)

地上波をどう「面白がる」か

――2021年にご自身が手がけた仕事の中から、印象的なものをそれぞれ聞かせてください。

TaiTan:僕はやっぱりテレビ東京で放送した『蓋』ですね。

佐藤:あれはどういう流れで企画が立ち上がったの?

TaiTan:テレビ業界の文脈ではなく、あくまで音楽業界的な視点でしか僕は話せないですけど、とにかくミュージシャンが新曲をリリースする形式がワンパターン過ぎるとずっと思っていて。とりあえずMVを作って、そのMVの監督も少人数の同じ人たちでまわしていて、制作費とかの規模感もだいたい同じで。もうネットからビビるようなものは出てこないなって感じてたんです。

それで、テレビ東京の上出(遼平)さんに、最初はMVを撮ってもらえないですかって相談したところ、上出さんが「MV的なものは撮れない」と。そこからド深夜とド早朝の間の停波枠が余ってるならもらえないかなって話になって、交渉した結果テレ東のほうからOKが出たという流れです。

佐藤:深夜とはいえ、要はテレビをジャックしたんだよね。

藤井:枠がもらえたあと、中身はどういうことを狙って作っていったんですか?

TaiTan:放送は一回ではなく、時間帯もランダムに何回も放送される仕組みを利用することで、YouTubeプレミア公開のテレビ版をやれるなと思って。

YouTubeの前でリリースを待機する代わりに、深夜の4時にテレビの前で物好きなヘッズたちが何かを待ち構えるっていう構造が面白いな、と。それで、番組を見ていると毎回Dos Monosの新曲が流れて、放送の最終日にはアルバムが突然発売されるっていう。

―ー企画を持ちかけたのはTaiTanさんで、映像のディレクションは上出さん、という分担ですか?

TaiTan:そうですね。ストーリーの筋書きとか、キーワードになった「暗渠」というモチーフは上出さんの発案で、全体の演出もしてもらいながら、最終的な映像の作り込みはmaxillaっていうチームのクリエイティブがだいぶ大きく入ってます。音楽とテレビとMVの世界で活動してきたそれぞれの人間たちが集まって、地上波をどう面白がるか画策したような企画でした。

テレビ放送休止帯に放送された『蓋』(テレビ東京)
 

藤井:いろんな人たちを巻き込んでいくのもそうだし、Dos Monosがミュージシャンとして曲をリリースするだけじゃない、周辺の動きも含めて面白いことをやっているっていうイメージが付くのは、いいことですよね。

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