自分の中に籠ることでしか安心できない

当時は毎日毎日何かにびくびくし、あなたは役立たずのようなことを言われ続けた。役に立ちたい、必要とされたいと強く思い、家のお手伝いを頑張った。嫌々していると思われたら叱られる。言われる前に進んでするようにした。それでも、食器洗い中に、うっかり母の大切なお皿やグラスを落として割ろうものなら、母の気が済むまで叩かれた。最後はいつも土下座で泣きながら謝った。何時間も正座させられることもあった。あの足がしびれる感覚は二度と経験したくはない。どれだけ手伝い、良いことをしても、一度失敗しただけで全てがなかったことになる。許されない。そのせいか、細かいことにまで自分に厳しい性格になっていった。

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小学校高学年の頃には常に自分の部屋に籠っていたかった。お小遣いを使って「明星」やファッション誌を購入した。親から与えられた漫画には興味が沸かなかった。ファンタジーすぎて感情移入ができず面白さが分からなかった。ファッション誌のキラキラした世界や写真を眺める方が楽しかった。毎月買うとお小遣いが無くなってしまうので、一冊を3ヵ月くらい大事にしていた。特に気に入ったものは切り抜いてファイリングし、自分だけの雑誌をつくった。母に見つかったときは、まだ早い、ませていると叱られ一度捨てられたが、ごみ箱から取り出して大切に作りなおした。

部屋に籠り、キラキラした雑誌を見ることが安心できることだった…Photo by iStock

◇いじめられても、母親からは手を差し伸べてもらえずにいた奈緒音さん。だれも救ってくれないという思いは、自分が孤独だという思いを強めてしまう。ただ、奈緒音さんにはその後数日だけ、母親の愛情を確認できる時があったという。後編「斜視の手術で目に包帯…母に殴られ続けていた私が唯一感じた「母の優しさ」」で詳しくお伝えする。