「認知症の高齢者」は増え続けるのに「成年後見制度」が普及しない残念なワケ
硬直化した制度の問題点増え続けている認知症患者
介護保険制度との両輪でスタートした成年後見制度。

しかしながら、介護保険と比べてその知名度や利用率も低迷しているのが現状です。創設から20年以上経っていても未だ市民権を獲得しているとは言えません。
その理由は、認知症高齢者が減っているからなのでしょうか?
いえ、ご存じのとおりそんなことはありません。高齢化社会の到来にともない認知症患者数は増加の一途を辿り続けています。厚生労働省の将来推計によると、2025年には65歳以上の5人に1人にあたる約700万人が認知症になるとされています。
認知症高齢者が増えている一方で、制度利用が進んでいない現実……。そのギャップについて理解しなければなりません。
今一番言えることは、制度利用を敬遠される傾向の方が強まっていることです。“使ってはいけない”“後見人に横領される”“第2の財産凍結”などとまで言われ、ここまで避けられる制度もある意味珍しいかもしれません。
そんな傾向にあっても、政府は近い将来の認知症社会を見据え成年後見制度の促進を掲げています。
2019年(令和元年)に定められた「認知症施策推進大綱」というものがあります。これは、認知症に対する施策について、政府全体の方針を定めたものです。その中では、はっきりと成年後見制度の促進が掲げられているのです。
まったく評判がよくないものをさらに進めようとしているこの矛盾。これでは、一般市民の混乱はますます深まるばかりです。