誰かと美味しさを共有できることが幸せ

「10カ月前、娘がこの世に生まれてからというもの、女の子は、男親にとっては特別な存在なんだなと痛感しています。可愛い反面、もし将来悪い男につかまったりしたら、気が気じゃないだろうとも思う。今回は、かつて小林亜星さんが演じた『寺内貫太郎一家』のお父さんがイメージだと聞いて、それが、向田邦子さんの『父の詫び状』というエッセイに描かれた、昭和の父親像と重なりました。伊藤さんの漫画もそうですが、3つのイメージが重なったら、面白いお父さんになるんじゃないかと」

撮影/山本倫子
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今、吉田さんには、未来の娘たちと実現させたい、ちょっとした夢がある。

「ある時期までは、しょっちゅう小栗(旬)くんや藤原(竜也)くんと一緒にお酒を飲んで、演技論を戦わせたりしていたけど、小栗くんも藤原くんも、もう若者じゃないからね(笑)。今は、家族ぐるみでご飯を食べに行くのがほとんどなんだけど、うちの娘と、小栗くんのところの次女と、藤原くんのところの長女が、ほとんど年が一緒で。この先、彼女たち同士が仲良くなって、子供たちだけでご飯を食べにいって、『パパ呼んで、お金払わせようよ』みたいなことをしてほしい。そこにノコノコ呼ばれて行きたいです(笑)」

さすがは演出家。夢のある妄想だが、もし、そこに素敵な男性がいたらどうするのだろうか。

「それはしょうがないよね。そこで昭和のお父さんを出しちゃったら完全に時代錯誤なんで。『許さんぞ!』みたいなことは言わずに、にこやかに『こんにちは』って言うと思います(笑)。

その前に、今はまだ家族団欒の食事といっても、娘が小さすぎて戦争状態なので、娘と一緒に秋口に鍋を囲めるようになるといいですね。そっちの方が、夢としては手前にあるかな。寒くなってきた頃に、食べ物って美味しくなる気がするんですよ。柚子の香りを嗅ぐと、鍋がやりたくなる。昔は“火宅”に憧れていましたけど、今は、家族での食事が一番楽しい。安心して、リラックスして、食べ物の味がよくわかる。ささやかなことだけど、誰かと美味しさを共有できることが、人としてのいちばんの幸せなのかなと思います。でも、火宅に憧れなかったら、料理の腕もあがらなかったし。若いうちの無謀な憧れも、最後は何かの役に立つんだって思いたいですね(笑)」

撮影/山本倫子
吉田鋼太郎(よしだ・こうたろう)
1959年生まれ。東京都出身。シェイクスピア・シアター、東京壱組を経て、1997年に劇団AUNを結成。演出も手がける。蜷川幸雄演出のシェイクスピアやギリシャ悲劇などの作品の常連。小栗旬との共演をきっかけに、2010年より映像作品にも積極的に出演するようになる。13年「半沢直樹」、14年NHK連続テレビ小説「花子とアン」などの出演により人気は全国区に。16年に、蜷川幸雄の後継として「彩の国シェイクスピア・シリーズ」の2代目芸術監督に就任した。
(c)東海テレビ/日本映画放送
おいハンサム!!
朝食の目玉焼きひとつにしても、個性の違う三姉妹。その唯一の共通点が、「男を見る目が全くないこと」だった。娘たちの幸せのために、“昭和の頑固親父の生き残り”であるパパ・源太郎(吉田鋼太郎)が立ち上がる。「食べて、恋して、人は生きている」――。観れば誰もがクスッと笑えて、ついでに(深夜なのに)お腹もすく。“恋”と“家族”と“ゴハン”をめぐる懐かしくて新しいホームコメディが爆誕!
1月8日(土)23:40〜フジテレビ・東海テレビ系列にて放送。
伊藤理佐さんの漫画の様々な要素がちりばめられているという
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スタイリスト/尾関寛子 ヘアメイク/熊谷波江

セーター  46200円(税込)パンツ 27500円(税込)
全て/JOSEPH 靴/スタイリスト私物