今回の舞台では、その場で湧き上がる“感情”がすべて(松山)

2022年は、沖縄返還50周年。返還直前の沖縄に生きる人々の複雑な思いが爆発したコザ騒動(*註1)を背景に、戦後沖縄の縮図のようなバーでの一夜を描く舞台「hana-1970、コザが燃えた日-」が1月9日から東京芸術劇場プレイハウスで上演される。

2013年、「遠い夏のゴッホ」で初舞台を踏み、その後、劇団☆新感線の「蒼の乱」(14年)、そして今回、劇団☆新感線「髑髏城の七人〜season風~」(17年)以来、約4年ぶりの舞台に立つのは松山ケンイチさん。岡山天音さんの舞台出演は今回が三度目となる。

今回、兄弟役を演じる松山さんと岡山さんの対談が実現したのは、舞台の稽古が始まってしばらく経った、12月中旬のことだった。

岡山 俳優としては、もう10年とちょっとキャリアを重ねているんですが、今回の舞台のお話をいただいたときは、新しい何かと出会えそうな予感がありました。栗山(民也)さんの演出で、余さんや松山さんとの共演ということで、最初はワクワク感でいっぱいだったのが、いざ台本をいただいてみたら、内容が非常に濃くて……。これまで沖縄に対して特別なアンテナを張ったりしていなかったので、実際に沖縄に行って勉強していくうちに、自分が立たされている場所の難しさや危うさを痛感するようになって……。正直、今はいっぱいいっぱいな感じです。

撮影/篠塚ようこ
岡山天音(おかやま・あまね)
1994年生まれ。東京都出身。2009年「中学生日記シリーズ・転校生(1)〜少年は天の音を聴く〜」で、俳優デビュー。17年、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」に出演。個性的な風貌で強い印象を残す。同年、主演映画「ポエトリーエンジェル」で高崎映画祭最優秀新人男優賞受賞。昨年は、「グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ」、オダギリジョーが監督を務めた「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」、「No  Activity/本日も異常なし」、年末の話題をさらった「最愛」など、注目のドラマに多数出演した。公開待機作に映画「笑いのカイブツ」がある。
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松山 僕も、これまで出演した舞台は会話劇ではなかったんです。「ゴッホ」も、新感線の舞台も、体を使っての表現がメイン。
だから、怪我をしないように毎日体をケアして、舞台が終わって、打ち上げみたいなものがあると、「生きて戻ってこられたな」という安堵感が残る。それが舞台だった。
でも今回は会話劇なので、体を使うというより、喉を使う感じ。今まで舞台で一回も喉を潰したことはないんだけど、今回に限ってはやばい感じがする。全然動いてないのに!

岡山 (不安げに)えー!

松山 多分、今回の舞台は対話の中で湧き上がる感情が全てだと思うんだよね。しかも、マイクを使わない正真正銘のストレートプレイなので、セリフを、一番後ろの席にいるお客さんまで届けないといけない。そうなると声を張ろうとして頑張るでしょ? 感情にプラスして声を乗せていくとなると、キュッと喉が閉まる感じがするから、そこで(喉を)やられる可能性があるよね。本当に気をつけた方がいい。

岡山 そうですね(不安げ)。

注釈:コザ騒動〜1970年12月20日未明、アメリカ施政権下の沖縄のコザ市(現在の沖縄市)で発生したアメリカ軍車両および施設に対する焼き討ち事件。アメリカ軍人が沖縄人を轢いた交通事故が事件の引き金だが、騒動になった背景には、アメリカ施政権下での圧制や人権侵害に対する沖縄人の不満があったとされる。