日本に大雪をもたらす「北朝鮮の聖地・白頭山」その知られざるメカニズム

1100年ぶりの大噴火も迫っている
伊藤 孝司 プロフィール

白頭山がもたらす「JPCZ」

白頭山の雪にはそうした思い出があるが、実はこの山は日本の雪の降り方にも大きな影響を与えている。先月末以降、東北から山陰の日本海側にかけて大雪が降っている。それは、局地的な大雪や突風といった激しい気象現象を起こす「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」によるものなのだ。

北陸西部から山陰にいたる地域での大雪は、過去にも無数にある。誰もが当たり前のことと思っているこの気象現象には、白頭山が大きく関係しているのだ。

JPCZの衛星写真(「ウィキペディア」より)

そのメカニズムはこうだ。西高東低の冬型の気圧配置になると、大陸のシベリア高気圧から日本方向へ強い寒気が押し寄せる。それは白頭山とそれに連なる山脈(赤の地域)によって、その両側に分断される(青の矢印)。そしてそれが、日本海の上で再び合流する。

 

冬の日本海は、対馬海流という暖流の影響で海水温が比較的暖かい。この上を通り抜ける寒気は水分を補給し、長さが1000キロメートルにもなる筋状の雪雲を何十本も発生させる。

それが本州の山岳地帯にぶつかり、冷え込みが厳しいと北陸西部から山陰までの日本海側へ短期間に大雪をもたらすのだ。また日本海側だけでなく、太平洋側の名古屋市や三重県北部にも大雪を降らすことがある。

そしてJPCZが移動せずに同じ場所にとどまると、記録的な大雪に見舞われる地域が出てくる。また積乱雲が発達して、突風や雷などの激しい現象が発生する危険性も出てくるのだ。

地球温暖化による海水温の上昇で、日本海から発生する水蒸気量は増加。温暖化はかなりの長期にわたって進行するのは確実なので、JPCZによる降雪量は次第に増えていくと推測される。

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