2020年から2021年にかけても、『わたしの家政夫ナギサさん』『大豆田とわ子と三人の元夫』『アバランチ』と、良質なドラマに連続出演、たしかな演技力とアクションで話題を呼んだ高橋メアリージュンさん。その演技の基盤には、役柄によりそう優しさが存在している。

高橋メアリージュンさんの優しさの秘密をたどる連載「優しさと生きる」、第5回のテーマは「仕事」。前編では、16歳のときに「CanCam」のモデルをつとめた8年のことをお伝えした。後編では、いよいよ本格的に女優として歩みだしたきっかけの話からお伝えする。

-AD-

NHK連続テレビ小説『純と愛』に出演

専属モデル卒業後の25歳の時に、NHK連続テレビ小説『純と愛』で女優デビューをしました。私の役は、ヒロインの兄の恋人・マリヤ。ヒロインオーディションに落ちてからの復活だったこと、私のためにマリヤという役を作っていただけたことなど、本当にありがたいご縁が重なっての出演でした。

以前もお話ししましたが、私は「家族を支えたい」という思いからこの世界に入っています。芸能界入りのきっかけとなった「横浜・湘南オーディション」を受けた際、2次審査で横浜まで行く新幹線代が無くて諦めようとした私を、「車で良かったらお父さん送っていくで」「みんなで行こう、家族旅行や!」と現地まで送ってくれたのは両親でした。

高橋メアリージュンさんは住んでいる滋賀から毎年東京ディズニーランドに行くほどだったが、メアリージュンさんが12歳のとき、父親の事業の失敗で貧しい生活になっていた 写真提供/高橋メアリージュン

NHKの審査員の方々に芸能界入りのきっかけを聞かれた際、そんな経緯を語りながら、つい感極まって泣いてしまった私。しかも審査で言う台詞は、よりによって「お父さんなんか信じられない。汚い、汚い、汚い!」というもので、もう私の感情は罪悪感でいっぱいになっていました。

意外にその審査も受かったものの、次の審査で落選。「あそこまで残っただけでも奇跡。よくやった」と冷静に受け止める自分がいました。

ところが再度NHKから連絡があり、「あなたの話が聞きたいので、一度、脚本家の遊川和彦さんと会ってもらえませんか?」と言われたのです。そんなことってあるんですね。遊川さんとお会いした私は、訊かれるままに家族のことを話しました。

単なる世間話しかしていなかったので、「なんだったんだろ?」と思っていた私とマネージャーさんに、後日プロデューサーさんから「マリヤという役を作りましたので、出演をお願いしたいです」という連絡が――。告げられた時は、本当に、本当に嬉しかったです。

『純と愛』に出演できたこと、そして共演者の方々から口々に「女優を続けてね」と言われたことは、私にとって大きな転機となりました。モデルとしての自分に最後まで自信が持てなかった私が「演技の仕事で頑張っていこう」と覚悟を持てたのは、間違いなく『純と愛』のおかげです