テスラもスペースXも…イーロン・マスクが手がけるビジネスの「意外な共通性」

「SF的な未来」の方を向いている?
池田 純一 プロフィール

裏返すと、単品の商品開発・技術開発にはさして執着はなく、むしろ、新しい社会システム、もっといえば新しい社会的なエコシステムを起動させ維持していくことにこだわっている。そうして新市場が築かれていくと信じているようだし、その一方で追随者や競合者が現れてくれることで、全てを自前で行わなくて済むようになると安堵しているようにも見える。

そのあたりは、あらゆるものを我が掌中に収めん!といわんばかりにマーケットの全取り、すなわち征服を目指しているマーク・ザッカーバーグとはだいぶ様子が違う。少し毛色の異なる事業を一旦立ち上げてしまった後に、改めてそれら複数の事業の間を埋めようとすることで、面としての新しい事業領域をあぶり出していく、という感じだ。

Meta Platforms, Inc.のマーク・ザッカーバーグCEO[Photo by gettyimages]
 

太陽光発電会社のSolar CityをTeslaが買収したときには随分と疑問視する声も上がったが、しかし、両者を蓄電池という視点から統合したことには驚いた。周りの方が既存の色眼鏡に縛られて、EVの内部にある基幹技術の転用可能性について即座に思い至ることができなかった。

傍から見ていると、宇宙開発の横でEVに手を出し、太陽光発電やBMIにまで、考えなしで事業領域を拡大、というよりも拡散していったように見える。だが、そこにはそれらをつなぐ地下水脈が隠れている。少なくともマスクの手による、一見すると脈絡のない思いつきで始めたような事業については、そのような斜めから見る理解の仕方のほうが適切な場合も少なくないのだ。

まるで「海賊船の船長」のようだ

裏返すとどうやらマスクの場合、とにかく「会社」という器を作ってしまえばなんとかなると、起業によるアナウンス効果を信じているようなのだ。この点で、マスクはスティーブ・ジョブズの後継者といってよい。目的としてのミッションを定めた上で会社を作り、然る後にミッションに即した人材を集めていくタイプの起業家である。頭領気質といえばよいか。

SpaceXにしてもTeslaにしても、マスクひとりでは製品をつくれない。そこがひとりでコードを書き上げるところから始められるITスタートアップとは決定的に異なる。

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