テスラもスペースXも…イーロン・マスクが手がけるビジネスの「意外な共通性」

「SF的な未来」の方を向いている?
池田 純一 プロフィール

「課税逃れ」という批判が付いて回る

もっとも毀誉褒貶の激しいマスクを「2021年を代表する人物」としてTIMEが選んだことに対して、その見識を疑う批判が即座に生じたのも事実。主なところは、課税逃れ、労組の疑問視、コロナ禍の軽視、といったもので、いずれも左派の厳しい追及にあった。

なかでも「課税逃れ」の件は以前から報道されていた分、反応が早かった。2018年に税金を納めていなかったとすでに伝えられていたのだが、晴れて世界一の富豪に躍り出た以上、批判されないわけがなかった。ProPublicaというアメリカの調査ジャーナリズムサイトが夏に、脱税とみなされてもおかしくはないビリオネアたちの節税の実態を報道しており、その中にマスクも含まれていたのだ。

イーロン・マスクと息子のX Æ A-Xii・マスク[Photo by gettyimages]
 

2020年に民主党の大統領予備選に立候補していた当時から、富裕者に向けた増税を主張してきたエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)は、マスクがTIMEのパーソン・オブ・ザ・イヤーに選ばれたと報じられた後、間髪入れずに彼の批判を始めた。

もっとも、このウォーレンとマスクのやり合いはTwitter上の規定演技的な展開でもあり、こうしたお騒がせ力もまた、マスクが2021年という今の時代の象徴たる人物であることを示していた。

むしろ、この騒動自体もマスクは自らのインフルエンサーとしての格上げに利用した。課税逃れの非難に対して、Teslaのストックオプションの行使によって得た収益から、2021年分として110億ドル(約1兆2500億円)を超える額を納税する予定になると発表した。

フリーダムすぎる振る舞い

マスク自身は、政治的には右でも左でもない自由人である。リベラルからは、特にプログレッシブな社会的大義のプロジェクトに関心を示さない富裕者のひとりであるため、きつく当たられる。一方、保守からは自由市場経済に必ずしも全面的に賛成というわけでもない発言を非難される。

どちらにしても彼を取り上げる人たちは、マスクの気まぐれで、時に論争を引き起こすような言動に対してどう対処していいか、考えあぐねている、というのが実情だろう。つまり、彼はフリーダムすぎるのだ。

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