テスラもスペースXも…イーロン・マスクが手がけるビジネスの「意外な共通性」

「SF的な未来」の方を向いている?

「2021年の顔」に選ばれたマスク

2021年12月13日、TIME誌は毎年恒例となった今年のパーソン・オブ・ザ・イヤーに、イーロン・マスクを選出した。続いて12月15日、Financial Times(FT)も彼をパーソン・オブ・ザ・イヤーに選んだ。マスクは米英2カ国の有力紙で立て続けに「2021年の今年の人」になったのだ。TIMEがアメリカの政治や社会の時評誌としての視点から、FTはイギリスから世界経済を見る視点から、それぞれマスクの実績について触れていた。

TIME誌とFT誌の「今年の人」に選ばれた実業家のイーロン・マスク[Photo by gettyimages]
 

わかりやすいのはFTの報道のほうで、金融経済紙らしく評価の軸を市場経済へのインパクトに集中させていた。Teslaが世界中の自動車産業にEVシフトを引き起こしたことに注目し、世界の自動車産業のあり方を一変させたことを高く評価した。誰もが手をこまねいていた電気自動車事業に進出し、その勢いでGMやフォード、トヨタなど自動車産業の競争のステージを変えてしまった。

いうまでもなく産業や生活の基盤である自動車の変容は、ひとり自動車産業の変化にとどまらず、様々な分野に影響を与える。なかでもエネルギー産業への影響は大きく、気候変動問題への対処が企業の倫理的対応としても捨て置けなくなった。まさに世界の見方を変えてしまったのだ。

一方、TIMEの方は、ここ最近マスクが起こした社会の変容について、起業家や経営者としての本業の意義から、セレブリティやインフルエンサーとしての社会へのお騒がせ力の大きさまで、硬軟取り混ぜ扱っていた。

実際、2021年の世界におけるマスクの存在感は際立っていた。

4月には、NASAと独占契約を結び、SpaceXのロケットを使って5年以内に、1972年以来初となる、月への有人着陸を目指すことになった。

10月には、レンタカー大手のHertz社がTesla社のEVを10万台購入する計画を公表し、それによって株価が高騰し時価総額が1兆ドルを超えた。その結果、マスクはジェフ・ベゾスを抜いて世界一の富豪になった。

こうしたSpaceXとTeslaという2大事業の動きの間に、5月には、有名なテレビコメディ番組であるSaturday Night Live(SNL)にホストとして出演し、その中でアスペルガー症候群を患っていたことを公表した。

同じく5月には、歌手のグライムスとの間に生まれた男の子に「X Æ A-12」(後に「X Æ A-Xii」に変更)と名付けたことを発表し、人びとを呆然とさせた。もっぱら「エックス」という呼称でメディアでは扱われているようだ。後でも触れるように、「X」はマスクのお気に入りの記号である。

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