フランスで「日本を特集する雑誌」が大人気になっている理由

即身仏から女子プロレスまで
柳下 雄太 プロフィール

なぜ「TEMPURA」なのか?

――日本人からすると、「テンプラ」というのは食べ物の名前ですが、なぜこの言葉を雑誌名に選んだのですか?

天ぷらというものには非常に面白い歴史があって、もともとは海外との交流にあまり積極的でなかった中世の日本に、ポルトガル人の宣教師が持ち込んだ食べ物でした。

この話はとても象徴的だと僕は思っていて、つまり国境が閉まっていても、アイデアとか文化というのはそれを乗り越えて普及していくわけです。日本文化に関するフランス語の雑誌TEMPURAも、食べ物としての天ぷらの歴史に重なる、2つの国の架け橋のような存在になりたいということで、この名前をつけました。

 

――この雑誌の読者にはどのような人がいるのですか?

TEMPURAの読者は3つのカテゴリーに分けられます。まず一つ目は、漫画とかアニメが好きな、いわゆる「日本のファン」の人たち。

それからフランスにはムック(注6)という本と雑誌の中間に当たるような媒体の市場があるのですが、ここの読者が二つ目。具体的には、長いルポルタージュや読み応えのある調査報道を、舞台となる国に関係なく好んで読む人たちです。だからこの人たちは、TEMPURAを読むことで日本のさまざまな問題を新たに認識していると思います。

三つ目としては、僕らは日本のアーティスト、工芸家や写真家についての記事を載せることが多いので、必ずしも日本に詳しくなくてもこういう分野に興味がある人たち。読者の男女比は大体半々で、平均年齢は30~40代ですね。地理的に言うと、最初は読者がもっとパリに偏ると思ったのですが、意外とフランス全土で読まれています。あとはイタリアやアメリカ、カナダとかベルギーといった国にも読者がいます。

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