フランスで「日本を特集する雑誌」が大人気になっている理由

即身仏から女子プロレスまで
柳下 雄太 プロフィール

――もうひとつ、TEMPURAの強みは、川上未映子さんや平野啓一郎さんなど、著名な作家の短編小説を載せていることがあると思うのですが、これはどうやって思いついたのですか?

僕は文学が大好きなので、才能にあふれた現代の日本の作家を紹介したいと思ったのがきっかけです。これらの短編のうちいくつかは、うちの雑誌にしか載せていません。彼らのアシスタントや、出版社、フランス著作権事務所(注5)にコネがあるので、そのおかげで掲載できました。

こちらがちゃんとした媒体で、彼らの作品をフランス語で紹介したいという思いがあることを説明すれれば、作家の方も比較的すぐ協力してくれます。あとは一度有名な作家の方の短編を載せることができれば、雑誌への信用度が高まって、次からは初回ほど難しくはありません。

日本のフェミニズムを特集したTEMPURA 7号
 

――そもそもパシャさんはなぜ日本に興味を持ったのですか?

実は僕はキューバで生まれてフランスで育ちました。当時キューバで住んでいた家の近所に、漁師に漁業の技術を教えにきていた日本人の家族がいたのです。僕の日本との出会いはここまで遡るのですが、2003年に日本に初めて旅行で行く機会がありフランスと違って日常生活のもろもろが非常に摩擦なく、スムーズに行くことにびっくりしました。

これは日本を訪れたフランス人にありがちな感想なのですが、例えば電車が時間通りに来るとか、飲食店でのサービスの質ですとかが、非常に印象に残っています。この経験によって、日本はとても穏やかで安心できる国という印象を持ったので、この国への好奇心が更に刺激されました。

この好奇心を満たすため、大学では人類学を専攻し、戦後日本におけるサラリーマン像について研究しました。結局一つの分野でずっと同じ内容を研究することに自分が向いていないと気がついて、博士課程の途中でやめましたが。

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