フランスで「日本を特集する雑誌」が大人気になっている理由

即身仏から女子プロレスまで
柳下 雄太 プロフィール

「等身大の日本」を見せたい

――記事について、即身仏や女子プロレス、日本のフェミニズムの歴史から小笠原諸島の欧米系住民に関するルポまで、日本人でさえあまり詳しく知らないテーマが多いのですが、どうやって決めているのですか?

記事のネタは僕が見つけてきたり、仕事をしている記者が持ち込んできたり、あるいは相談して決めたりいろいろですね。傾向としては芸者、ロボット、性に関するいわゆる「ウィアードジャパン(注1)」のような、ステレオタイプにはまらないようにしています。

残念ながらフランスでは、ちゃんとしたメディアでもこういったテーマを取り上げてしまうことが多いので…。日本やアジアに関しては特にこういうエキゾチシズム、もっというとレイシズム的な見方がまだ残っていて、とんでもない言説が依然としてまかり通ってしまっている現状があります。ですのでフランスとの単純比較を避けて、社会構造や歴史に重点を置きつつ、あくまで等身大の日本を見せることを心がけています。

その結果、セクシュアルマイノリティーや、社会における女性の地位、地方の問題など、どの国にもある普遍的な事象に言及することが多いです。僕がいつも興味深いと思うのは、ジャーナリストの伊藤詩織(注2)さんですとか、写真家の石川竜一(注3)さん、あるいは森美術館館長の片岡真美(注4)さんのように、個人で社会をより良くするために努力変えようとしている人たちについての話ですね。

ジャーナリストの伊藤詩織さん[Photo by gettyimages]
 

フランスでは日本は同質的な社会だと思われがちですが、全然そんなことはなくて、非常に多様な国だということを教えてくれます。日本の多様性を紹介するというのも、僕が本当にやりたかったことの一つです。

一緒に仕事をする記者の中には、ルモンド紙などすでに他の媒体で特派員として書いている人も多いのですが、彼らのTEMPURAへの反応も非常に良いです。多分彼らも、フランスメディアが今までやってこなかったこのようなネタを発表する場所を探していたのではないでしょうか。

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