「新しい資本主義」は、格差を広げる
その一方で、大多数の中小零細企業においては、コロナ禍や円安、原材料高によって業績が悪化しているところが多いので、賃上げの余力はほとんどないといっても過言ではないでしょう。
それどころか、収益の悪化から今後数年で廃業する企業が一段と増える見通しにあります。
企業全体の99.7%を占め、労働者の70%程度が働いている中小零細企業を元気にするには、賃上げ以外の方法を考えなければなりません。

確かに中小零細企業のなかにも、安倍政権時の官製春闘で大企業が賃金引き上げを決めたことに背中を押されて、思い切って賃上げに踏み切ったところが少ないながらもありました。
ところが、そういった中小零細企業がどうなっていたかというと、「政権を信じて賃上げをしたのに、原材料高で業績が悪くなるばかり。今後の賃上げはとても無理だ」といった恨み節が聞こえてくる有り様だったのです。