日本の株価が32年前の水準に戻る間に、米企業の時価総額は12倍に

円安が日本企業の技術力を削いでいる
野口 悠紀雄 プロフィール

GDPでの乖離より大きい

ニューヨーク証券取引所が発表したデータによると、2021年7月時点でのアメリカ企業の時価総額合計は50.2兆ドルだった。21年7月の日本企業の時価総額合計は、724兆円だ。これを1ドル=111円で換算すると、6.52兆ドルになる。アメリカ企業の時価総額合計は、この7.7倍だ。

他方で、2021年の名目GDPは、市場為替レート換算で、日本が5.10兆ドルで、アメリカが22.94兆ドルだ。アメリカは、日本の4.5倍程度である。上で見た株式の時価総額での乖離は、これよりずっと大きい。

アメリカ企業の時価総額が増加した大きな原因は、1990年頃には取るに足らぬ時価総額だった企業、あるいは存在すらしていなかった企業が、その後に急成長したことだ。

その代表が、GAFAMと呼ばれてきた企業群だ。Facebookが「メタ」と社名を変えたので、ここでは、GAMMAと呼ぶことにしよう。これらのうち、グーグルとメタは、1990年には存在すらしていなかった。

ところが、現在、アメリカの時価総額の中で、GAMMA企業群は大きなウエイトを占めている。最近時点での時価総額は、つぎのとおりだ。

アップル:2.91兆ドル、マイクロソフト:2.53兆ドル、グーグル(アルファベット)1.92兆ドル、アマゾン:1.69兆ドル、メタ:0.54兆ドル。

これらを合計すると、9.59兆ドルになる。1ドル=115円で換算すれば1102兆円だ。これだけで、日本企業の株式時価総額合計額の1.5倍程度になる。そして、2021年7月でのアメリカ国内株の合計50.2兆ドルの5分の1程度になる。きわめて大きな比重だ。

 

GAMMA企業の従業員数は、124万人だ(2019年)。これはアメリカの雇用者(約1億3200万人)の0.94%程度でしかない。それらの人々がこれだけの価値を生み出している。

GAMMAに相当する企業は、日本には生まれていない。世界をみても、中国だけだといってよい。だから、アメリカと比較すること自体が、もはや意味のないことになったとも言える。しかし、日本企業の時価総額の凋落ぶりは、他の国に比べても言えることだ。

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