2022.01.13
# エンタメ

炎上演出の『ジョブチューン』、やらせ疑惑の『冒険少年』…TBSのバラエティがどうにも“危なっかしい”訳

木村 隆志 プロフィール

視聴者は「前科」を忘れていない

まずあげておかなければいけないのは、TBSの「前科」を視聴者が覚えていること。2016年6月の『珍種目No.1は誰だ!?ピラミッド・ダービー』、2019年8月の『クレイジージャーニー』、同年8月の『消えた天才』で過剰演出があり、すべてBPOから「放送倫理違反」と判断されてしまった。

当然TBSはこれらの番組を終了させたが、それだけで人々の怒りは収まらない。当時ツイッターやYahoo!ニュースのコメント欄には、過去にさかのぼって『ガチンコ』『学校へ行こう!』などを引き合いに出して、「あのときから変わっていない」と断罪する声が少なくなかった。

新年早々の『ジョブチューン』と『アイ・アム・冒険少年』に対する批判がヒートアップしたのは、そんな「前科」が背景にあったことは否めない。人々の声は決して批判ありきではなく、「過去の教訓がまったく生かされていない」ことに怒っているのだ。

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では、TBSのバラエティは何が問題なのか。

過剰演出に走ってしまう理由の根底にあるのは、毎分視聴率を意識した台本と編集。台本には視聴者を引きつけるいくつかのクライマックスが必要であり、スタッフたちには「それがなければ視聴者が裏番組に流出し、視聴率が下がってしまう」という強迫観念がある。いわゆる「撮れ高」の中でも、それなりに大きなものを複数用意しなければいけないのだ。

たとえば、『ジョブチューン』でも順番に合否をジャッジしていくだけでは起伏が少なく、飽きられてしまいかねないが、「食べない」「担当者が泣きながら訴える」というシーンはクライマックスの1つとなり、だからこそ反響を呼んだ。

企画特性や審査員のプライドを踏まえると、台本はなかったように感じたが、それでも編集で際立ったストーリーとして仕上げたのは間違いない。

制作サイドは放送時間全体の平均視聴率ではなく、毎分視聴率を強烈に意識しながら番組を制作している。「右肩下がりになった」「裏番組に流出した」という状態を避けるために、起伏のあるストーリーを前提にした台本を作り、編集をすることが過剰演出につながってしまうのだ。

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