2022.01.02
# 北朝鮮

2022年も八方塞がり続く金正恩…その背後にいる「赤い貴族」たちの存在

権威は集中、責任は分散、権力はどこに

2022年の北朝鮮

2022年、北朝鮮にとっては厳しい新年のスタートになった。朝鮮中央通信は1日、朝鮮労働党中央委員会総会が21年12月31日に閉幕したと伝えた。同月27日から開かれていた中央委総会では、21年の活動報告や22年の施政方針が示されたが、古色蒼然とした内容にとどまった。

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北朝鮮経済は今、国連制裁や新型コロナウイルスの防疫対策として2020年1月末から実施している国境封鎖措置でボロボロの状態だ。韓国統一省の資料によれば、2016年まで年平均で30億ドル前後あった外貨収入は、20年には8900万ドルまで急減した。2020年の経済成長率はマイナス4.5%にまで落ち込んだ。

韓国の情報機関、国家情報院が21年10月28日に韓国国会で説明した内容によれば、北朝鮮では消毒薬の不足から腸チフスなどの感染症がまん延している。食糧不足も深刻化したため、金正恩氏は秋の収穫期にあたり、「ご飯を食べる人間はすべて農村支援に出ろ」「コメ一粒まで確保しろ」と指示した。

そして、生活難は一般市民だけでなく、金正恩氏を支える高位層の足もとにも迫っている。

21年12月17日に行われた金正日総書記死去10年の追悼大会に出席したほとんどの幹部は、同じ紺色のダブルのチェスターコートを身につけていた。政府高官の服装がバラバラな日本や欧米諸国ではあり得ない光景だが、こうした高級品は指導者が幹部に与えたものだ。閣僚を父に持つ脱北者によれば、毎年の年末になると金日成主席から大きな段ボールが何箱も父宛てに届いたという。「南洋果実」と呼ばれ、北朝鮮では珍品扱いされているミカン、牛や鹿の肉、正月の新年互礼会で着用する洋服などが入っていた。

ところが、国情院の21年8月3日の国会説明によれば、北朝鮮は米朝会談の前提条件として3項目を認めるよう要求した。すなわち「鉱物資源の輸出」「精製油の輸入」「生活必需品の輸入」だ。この「生活必需品」には、高級洋酒と洋服が含まれていたという。北朝鮮政策を長く担当した日本政府の元当局者は「幹部たちは正恩氏を尊敬しているわけではない。特別な生活の保障がなくなれば、誰も指導者について行かなくなる」と語る。

誰がみても苦しい状況でありながら、金正恩氏が党中央委総会で指示した内容に画期的と言えるものは何もなかった。

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