「どうせ大人になったら」の闇

どうせ大人になったら――実は保護者からよく聞くフレーズだ。
カップ麺は子どもの時分はあまり食べさせないで、と保育園の頃に園長先生が話した時のこと。「どうせ大人になったら、カップ麺食べるんだから」と言う声が出た。親の忙しさ、夫婦で子育てを協働できず母親ばかりが背負う現実があるなか、子どもの健康の話は複雑な思いで聴いた。

サッカー少年団の指導者が怒鳴る、負けると罰走させる、決まった子どもしか試合に出さないなど理不尽な指導が問題になった時も。
「どうせ大人になったら、理不尽なことはいっぱいあるよ。今から鍛えておかないと」との意見が支持された。私なりに「理不尽なことはおかしいと伝えないと、大人になって理不尽を容認する人間になるのでは?」と抗った。

そんなふうに、他の親御さんと意見や価値観が合わない悩みを地域の塾講師の方に打ち明けたことがある。
「子どものうちに育てる力があるんだけどねえ」とおっしゃっていた。つまりは、大人になった時の未来予想図ではなく、子ども時代に養える力を重視しましょうということだ。

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この「子ども時代に蓄える力」こそ、自己肯定感だろう。この自己肯定感という言葉、私は明橋大二先生の大ベストセラー『子育てハッピーアドバイス』(一万年堂出版)で知った。今でこそ「自己肯定感」は一般的な言葉になり、子どもの自己肯定感を高めるための指南書も驚くような種類の書籍が出版されている。医師でカウンセラーでもある明橋先生が本の中で語る「自己肯定感を重ねていけば輝ける子どもになる」「何があっても揺るがない子になる」。すべての内容が、すとんと腹に落ちた。

明橋先生の子育てをする母親への思いやりにあふれる説明と、太田知子さんのわかりやすいイラストが、私たち親に自己肯定感の大切さを伝えてくれた。長男がちょうど小学校に入学した頃に書籍が発売され、ハッピーアドバイス2、3、その他のシリーズも続けて拝読し大きな学びになった。

下の子どもが大学生になった今もなお家にある『子育てハッピーアドバイス』シリーズ 撮影/島沢優子