絶対評価と自己肯定感の関係

先述の担任は「僕ら教員もただ通知表で評価するのではなく、もっと生徒の内面にもぐり込んで支えなくてはいけません。ただし、中学でどうにかなるような問題ではなくて、小学校から上がってきた時点ですでに失敗を恐れてチャレンジできない感じ。自己肯定感がすごく低いんです」と嘆息する。

日本の子どもの自己肯定感は世界でも断トツに低い。内閣府が2019年に発表した「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」では、13歳から29歳までを対象に米英独韓など7ヵ国中、最も自己肯定感が低い。例えば「自分自身に満足している」に対し「そう思う」と答えた子どもはわずか10%しかいない。

内閣府調査「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」2018年度より
もちろん、満足していないのは「これからもっと伸ばしたい」という思いがあるからという意見があるのかもしれないが、今の状況に満足しつつ伸ばしたいと思うのと、自信がないことは異なる 内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」より
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自信がない子どもの自己肯定感を上げるためにも絶対評価を施し、それぞれのスモールステップを認めていったほうがいいと思うのだが「親御さんたちは相対評価にしてくれって言うんですよ」と男性。他の教師からも「親たちは相対評価の復活を望んでいる」という声は多かった。

思えば、私の子どもが小学生だったころも相対評価を望む親御さんは少なくなかった。長男が2年生くらいの頃だろうか。相対評価から絶対評価に変わったのは2002年なので、すでに3~4年経過していたはずだが、私たち親には青天の霹靂。保護者会で絶対評価の説明を受けたときは教室がざわついた。

「どうせ大人になったら競争社会でもまれていくのだから、競わせたほうがいいのでは」とひとりのお母さんが言うと、皆さんぶんぶん首を縦に振っていた。また、「自分の子どもが周囲に比べてどういう位置にいるのかがわかったほうが、何を頑張らせたらいいのかがわかります。ABCでは何を頑張らせたらいいのかわかりません」という意見もあった。こちらも支持されていた気がする。担任の先生は、ただただ恐縮しながら「学校生活では競争する場面もあるので」などとおっしゃっていた。