文春砲『線虫がん検査「精度86%」は問題だらけ』があまりにお粗末と言える確固たる理由

木原 洋美 プロフィール

共同臨床研究拠点は国内24施設、海外1施設

呼びかけに最初に手を挙げてくれたのは、鹿児島共済会南風病院(鹿児島市)だった。昭和29年開業で、60年以上の歴史を持つ地域の中核病院である。そんな病院がどうして、協力してくれたのか。筆者は2017年に鹿児島へ飛び、副院長兼消化器内科部長(当時)の新原享氏にも話を聞いている。

新原氏はイの一番に名乗りを上げた理由を、

「当院の臨床応用開発室の室長が、N社主催の先進的な医療技術のセミナーで広津先生の研究を知り、素晴らしいと、情報を持ってきてくれたのです。
うちは消化器がんの臨床症例が多いし、線虫がん検査にも興味がありましたので、ぜひ協力させてほしいと名乗りを上げました」と語ってくれた。

そんなわけで南風病院は、早期のがんから進行がんまで、できるだけ幅広いステージの検体を調べることを目指し、筆者が取材に訪れた時点で、胃がん50例、大腸がん60例、ほか胆嚢がん、胆管がんと集めて、90%以上の精度を確認していた。

しかも、従来の腫瘍マーカーと対比して、線虫がん検査がどれだけ優れているかを明らかにさせるために、血液も採取した上での結果だ。

「現在、実際に使われている腫瘍マーカーは精度が低くて、進行がんでないとなかなかひっかかりませんからね」(新原氏)

南風病院での研究が順調に進んだことで追随してくれる病院が現れ、2020年4月の段階で、共同臨床研究拠点は国内24施設、海外1施設にまで増えている。

遠軽厚生病院、筑波大学附属病院、上尾中央総合病院、戸田中央総合病院、帝京大学、都立駒込病院、東京大学、昭和大学、国立成育医療研究センター、新山手病院、埼玉医科大学国際医療センター、岐阜大学、揖斐厚生病院、JA稲沢病院、京都府立医科大学、大阪大学、徳島大学、JA尾道総合病院、広島大学、徳島大学、四国がんセンター、久留米大学、熊本大学、鹿児島共済会南風病院、那覇西クリニック、ヒルズガーデンクリニック、オーストラリア・クイーンズランド工科大学
国内の共同臨床研究拠点
 

実は南風病院での臨床試験を始める前、N-NOSEの精度は97%以上だった。それが南風病院の臨床試験で90%台に下がり、実用化に至った現在は86.3%(2019年9月現在)になっている。97%と比べたら、だいぶ精度は落ちた感じがするが、有用性が高いとされる代表的な腫瘍マーカーの1つ「CEA検査(大腸がん、胃がん、肺がんなどを診る)」でがんが発見される確率は、ステージ0~1の場合13.8%であることから見たら、ずば抜けて高い。

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