2021.12.31
# 不動産

「高層マンション」の絶望的な末路…これから「平屋の時代」が来そうなワケ

しょせん建物だけの価値
大原 浩 プロフィール

共有地の悲劇が目の前に迫っている

ビートルズのジョン・レノンは、オノ・ヨーコと共に「愛と世界平和」を語った。確かに立派な行為であるし、私は彼のファンだ。しかし、口さがない人間は「ビートルズの4人さえまとめられない(解散した)のに、世界の愛と平和を語るとは……」と皮肉る。

確かに、抽象的な「愛と平和」をきれいに語るのは簡単かもしれないが、多額の金銭が絡む「バンド」をまとめるのは難しいのかもしれない。

実際、「バンド」というのは「共有」の典型であり、メンバー全員のものである。したがって、切り離して分割することはできない。しばしばソロで独立したり解散することがあるが、そうなったらもう「(同じ)バンド」ではない。

4人から5人程度のバンドメンバーをまとめるのでさえ一苦労なのに、数十人、数百人(家族を含めればもっと多数になる)単位のオーナーが「共有」を維持するのは想像を絶する大変さだ。

遺産相続も、関係者は数人からせいぜい十数人程度だが、「争族」になることが珍しくない。血縁関係にあるから骨肉の争いになるとの見方もあるだろうが、赤の他人であっても金銭が関わると大揉めするのはよくあることだ。

マンションの共有というのは、多額の金銭(資産)が絡んだ問題であることは明白である。

不動産業界では、複雑な権利関係を解きほぐしてすっきりさせることを専門にする企業がたくさんあるが、かなりのハードワークのため収益性が高い。つまり、権利関係を解きほぐすにはかなりの「費用と労力」が必要なのだ。

マンションも数十年が経過する間には、オーナーが変わったり、オーナー以外の賃借人が入ったり、相続が起こったりなどして権利関係は複雑化していく。

このような深刻な状態に対応して、政府はこれまでの建て替え合意を「5分の4」から「4分の3」以下にする検討を始めたと報道されているが、これが実現しても焼け石に水である。

建て替えの同意が容易になっても、立ち退き拒否者が出れば、共産主義中国のように摘まみだすことは人権上容易ではない。高齢で建て替え費用を出せない人々などへの補償が結局必要ではないだろうか? さらに、オーナーと入居者が異なれば、賃借人を追い出すことは簡単ではない。日本の法律は賃借人に極端に有利にできているから、オーナーと入居者が異なれば、賃借人を追い出すのは至難の業なのだ。

 

さらに、マンションのオーナーがどのような人物なのかもわからない。その筋の人かもしれないし、そうでなくても「悪意の人」である可能性は否定できない。あるいは悪意の人が、いくつかの部屋を安値で買いたたいて「管理組合」の一員になる可能性もある。彼らがどのような行動に出るのかは未知数だ。

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