2021.12.29

インフレ、円安…2022年の日本経済を「決定的に左右する」6つのポイントを読み解く

加谷 珪一 プロフィール

もし115円を超えて円安が進んだ場合、物価上昇に拍車がかかる可能性が高く、そうなると金利の上昇も意識されてくる。金利に上昇圧力が加わると、日銀はさらに政策の選択肢を失ってしまう。こうした事態を回避するためには、企業が製品価格の引き上げと賃上げを実現し、インフレへの耐性を強める必要がある。つまり企業の体質転換が今の日本経済にとってはもっとも重要なファクターとなっているのだ。

 

(3)日本の賃金は上昇するのか?

インフレ耐性という点において、岸田政権が賃上げを重要政策として掲げたこと自体は方向性としては間違っていない。だが、岸田政権は基本的に優遇税制で賃上げを実現しようとしており、このままでは目立った成果を上げられない可能性が高い。経済学的に見た場合、労働者の賃金は企業の生産性に比例するので、企業の生産性が高まらないと賃上げは実現しない。

企業は税制で賃上げを決めているわけではないので、優遇税制を強化すれば、もともと賃上げを予定していた企業が節税対策としてこの制度を使う可能性が高くなる。そうなると全社的な賃上げ効果は発揮されず、法人税収だけが減少するという事態にもなりかねない。

政府が本気で賃上げを実現したいと考えるのであれば、コーポレートがバンス改革などを通じて、企業の体質転換を促す必要がある。日本企業の生産性は欧米企業の3分の2程度しかなく、差分の多くは付加価値要因である。日本企業は前例踏襲を繰り返しており、薄利多売のビジネスモデルから脱却できていない。物価上昇リスクが高まっている今、良い商品をより高く販売するビジネスに転換しなければ、付加価値を上げる(つまり賃金を上げる)の難しいだろう。

関連記事