2021.12.29

インフレ、円安…2022年の日本経済を「決定的に左右する」6つのポイントを読み解く

加谷 珪一 プロフィール

ちなみに1973年に発生したオイルショック当時も、先に企業物価指数(当時は卸売物価指数)が上昇し、後になって消費者物価指数が急上昇した。当時は量的緩和策こそ実施されていないものの、ドル危機を発端とするニクソン・ショックをきっかけに円が急騰。政府は急激な円高に対応するため大規模な金融緩和を実施していた。金融面においても物価が上がりやすい状況であり、今回とよく似ている。消費者物価指数の動きは要警戒といってよいだろう。

 

(2)円安は進むのか?

もし国内の消費者物価指数が上昇を始めた場合、にわかに注目が集まるのが日銀の金融政策である。現時点で日銀の黒田総裁は、物価上昇は一時的なものとの見解を示しており、当分の間、量的緩和策を継続する意向を示している。

アベノミクス推進の中心人物だった黒田氏は立場的に金融政策の変更を言い出しにくい。日銀の金融政策が大きく変わるとすれば、総裁人事が動くタイミングだが、黒田氏の任期は2023年なのでまだ時間がある。国内の物価上昇が顕著となった場合、円安と金利上昇懸念が高まるのは確実であり、日銀は難しい運営を迫られるだろう。

仮に日銀が量的緩和策を続けた場合、最初に反応する可能性が高いのはやはり為替である。12月末時点においてドル円相場は1ドル=114円台で取引きされているが、115円を大きく抜けた場合、テクニカル的には120円が視野に入る。

日本企業は輸出競争力を大幅に低下させており、日本の交易条件は年々悪化している。かつて円安の進行は、輸出企業の業績を拡大させ、国内の賃金上昇効果をもたらしていたが、今の経済構造では輸入物価上昇による購買力低下の影響が無視できない。場合によっては「悪い円安」となり、消費に悪影響をもたらすだろう。

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