2022.01.09
# ライフ

「この手紙を10人に回さないと不幸が訪れます」…日本で「不幸の手紙」が始まった経緯

朝里 樹 プロフィール

その手紙にはキリストへの祈りの言葉などの他、この手紙を書き写し、一定の人数に送ることで幸福を得られるが、送らなければ不幸が訪れるという旨の内容が書き記されていた。またしばらくすると宗教的な要素が排除され、ただ手紙を回せば幸福になるが、回さなければ不幸になる、といった旨の文章が記された手紙も流布するようになった。

これらは「軍の将校」や「宣教師」など現実に存在する人間から始まったなどと記され、文面には今までに手紙を回したとされる人間の名前が連ねられることもあった。

なぜ日本へと伝わってきたのか?

そして識字率の向上や国際郵便の発達などにより、これらの手紙は国境を飛び越えて世界中に流布することになる。日本も例外ではなく、「幸福の手紙」と呼ばれるようになる手紙が最初に確認されたのは、大正時代であったと考えられている。

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丸山泰明氏の論文「『幸運の手紙』についての一考察」によれば、『東京朝日新聞』1922年1月27日付の記事にて、「24時間以内に9枚の葉書を書いて出すと9日後に幸運が訪れるが、出さなければ悪運が回って来る。この葉書はある米国の士官から始まり、既に地球を9度回っている」といった旨の文章が書かれた「幸運の手紙」が出回ったという記述が確認されたという。

その手紙はいつの間にか収束したが、1926年の夏に再び流行し、それ以降度々流行と沈静化を繰り返すようになった。

また同論文では、この幸運の手紙は海外の英語圏で広まっていたものが1922年以降複数回に渡って日本に流入したものだと考察した。外国の人間が自分に回ってきた幸運の手紙を複数枚出す際に、その中の一部を日本の友人知人に向けて広めたことにより、日本において日本語に訳されて広まり、定着したのではないかと考えている。

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