ようやく老人ホームに入居できたが、実家をそのまま残していたため計算外のこともあった。誰も住んでいないにもかかわらず電気ガス水道などの基本料金がかかるし、固定資産税などもかかる。初江さんの年金収入も手取りが12万5000円ではなく、そこから社会保険料などが天引きされる。
そんなこんなで老人ホームの利用料と実家の維持費がかさみ、入居から半年も経つと預貯金は100万円ほど減っていた。意外と減りが早いことに、恵子さんはあせったという。
施設が閉鎖の危機に…
ちょうどその頃、事件が発生した。
「以前から経営が回っていないとは思っていたのですが、施設の運営母体が経営破綻してしまったのです」
入居者の家族で構成される「家族会」に対して何度も説明会が行われたが、だからといって施設の経営が再生するわけでもない。家族会と職員が一緒になって何度も役所に相談に行き、施設を引き受けてくれる運営母体探しが始まった。
恵子さんも毎週施設に出向き、母親を散歩に連れ行ったり、カフェにつれていったりしつつ、施設の今後について情報を収集して、不安な日々をすごした。その結果、2カ月後に大手ではないが、施設の引き受け先の法人が決まったのだ。
しかし、その先には「第二の地獄」が待っていた…。
その後恵子さんの家族を、予期せぬ「介護の落とし穴」が襲う。詳細は【後編】『3年以内に「介護破産」…母親の老人ホーム利用料に苦しんだ一人娘の大失敗』で紹介しよう。