今年も未成年が対象となった悲しい事件が複数発生した。なかでも、「いじめ」が原因で、自殺に追い込まれたという事件の発生や、過去に起きた、いじめによる自殺を認めてほしいと告発する報道も目立った。

兵庫県加古川市、福島県須賀川市、滋賀県高島市、滋賀県大津市、、福岡県北九州市、静岡県浜松市、石川県野々市、東京都町田市……まだまだたくさんある。地域関係なく、いじめの問題は日本全国で発生している。

さらに、自殺の原因はいじめであることは間違いないのに、何年もかけ訴え続けている人が多い。いじめた当人、学校や教育員会など、事実を認めず、被害者ばかりに苦しみが残るのも、いじめによる事件の課題だ。

12歳の中学1年生に襲い掛かった同世代による性暴力

中でも、文春オンラインで報じられ、その後さまざまなメディアで報道されたのが『旭川女子中学生凍死事件』だ。事件の内容はとても痛ましく、社会問題としてもクローズアップされた。

文春オンラインで報じられた中身を簡単にお伝えしよう。北海道旭川に住む12歳の少女は2019年4月に中学に入学してからずっと学校の先輩や同級生から性的な嫌がらせを中心とした壮絶ないじめを受けていた。度重なる脅しの結果、自撮りしたわいせつな写真を送らされる。その写真を仲間に拡散されてしまい、嫌がらせはエスカレート。皆の前で自慰行為を求められるなどしていた。小学生も含めた取り巻きに囲まれて、少女は一度川に飛び込んだこともあった。これは新聞にも報じられたという。しかし母親が異変に気付き学校に連絡をしても、学校では取り合ってもらえなかった。そしてPTSDの症状に苦しみ、転校した先の学校にも通えなくなり、14歳になったその少女は2月に失踪、3月に凍死した痛ましい姿で発見されたのだ。

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……こうして事実を連ねるだけでも胸が苦しくなるおぞましい犯罪が10代の子どもたちの手で行われていた。しかも加害者たちは少年法に守られて法的に裁かれることはない。

母親が文春をはじめ、多くのメディアに対して写真を提供し、実名での報道を許したのは、彼女が生きていた証を残し、なぜ亡くならなければならなかったのかを問いかけ、二度とこのような被害を出さないように呼びかけたかったからだろう。

リアルでもつながっている同世代によるSNSをも駆使した陰湿な性暴力と執拗ないじめ。現実とネットの両方の世界で虐げられた被害者少女の辛さや無念さを想像しただけで、涙が出る。

それと同時に胸に迫るのは、被害者少女の母親の痛みだ。娘を失った悲しみ以上に「大切な我が子をなぜ助けてやれなかったのか」と自分を責める苦しみに苛まれているのではないか。

この事件は、文春の報道後、多くのメディアやSNSなどで話題になり、旭川市長は10月28日、いじめがあったことを認める発言をした。市長は「学校や教育委員会以外、第三者の視点で対応する部署が必要」とし、死亡といじめの因果関係は、調査されることになる、と発表。すぐにでも第三者による調査を進めてほしいと願うばかりだ(12月25日現在)。

学校という社会で、繰り広げられた陰湿ないじめ。SNSを使い以前よりもより巧妙で大人たちに見えなくなっている。photo/iStock

現実世界でのいじめにすら、親はなかなか気づくことができない。なのに今やいじめはネットやSNSという、さらに見えにくい世界にまで及び、両方が複雑に絡み合っている。子どもたちを取り巻くネット社会について、取材を始めたからこそ、身に染みて思う。この事件は決して他人事ではない。どちらも親としては目を覆いたくなる現実だが、わが子が被害者にも加害者にもなる可能性がある……。

いったいどうしたら、子どもの危機を察知し、心と体を守ることができるのだろう――。

私自身、日々仕事に追われ忙しく、さらにマインド的にも、息子の全てを事細かに知りたい、管理したいという親ではないと思う。ちょっと前まで反抗期まっさかりだった息子とは、ほとんど会話らしい会話もなかったくらいだ。

でも一緒に映画を観て話し合って以来、以前までの親子・家族としての会話だけでなく、ひとりの人間同士、横並びの目線で少し突っ込んだ話もできるようになった。いっしょに観た映画とも偶然にも同世代の子どもが被害者であり加害者であったこの事件。息子とも2~3歳しか変わらない子どもたちであったということもあり、思い切ってこの件について、息子と話してみようと思った。