2年前に亡くなった父の葬儀が出来ぬまま

私の名前は、アン・クレシーニ。北九州市立大学准教授で、周囲から「アンちゃん」と呼ばれ、在日21年になるアメリカ人だ。

2020年の3月に、私の大好きな父親が突然亡くなった。ちょうど世界中がコロナ禍に入り混乱していた頃だ。アメリカは感染拡大でとんでもない状況になっていたから、アメリカに住む兄弟でさえ国内移動ができず、父を亡くした母をそばで支えることができなかった。日本在住の私も、もちろんアメリカに帰るどころではなかった。

母は一人で父の死と向き合わなければいけなかった。4月に、家族でZoomでお別れ会をして、コロナが落ち着いたら改めて葬儀をしようということを決めた。私だけが海外に住んでいるので、葬儀のタイミングは私次第だ。

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これはアメリカだけの出来事ではなく、日本国内も同じで、身内の葬儀や介護、会うこともままならない、切なく厳しい環境に置かれた方は少なくない。現在、オミクロンは心配だが他国に比べ感染が落ち着いている日本では、この時期に久々に家族に会う方も多く、本当に喜ばしいことと感じている。

私は、あれからすでに2年近く経つけれど、まだ父の葬儀はできていない。なぜかというと、私が日本を出ることができないからだ。正確にいえば、「出国はできるけれど、再入国が出来るかどうか」という不安が半端ないのだ。一度出国したら日本に戻れないかもしれない……この心配事は、私だけでなく、日本に住む多くの外国人からも聞こえてくる。

感染対策はもちろん重要だ。私もそれには同意する
。ただ、今回の決断はおかしな点が多い。そのことについてお話ししたいと思う。

お父様がご存命の頃、アメリカに行ったときの写真。このときを最後に亡くなった父親だけでなく、母親にも会えていないという。写真提供/アン・クレシーニ