2人が接触を持つ動機は十分にあり、隠し子の可能性も考えられる。後は本人に聞くよりしかたなく、また子供の父なのかどうか立証するにはDNA鑑定しか道はない。探偵チームの調査は、これ以上、新たな事実をキャッチするのは限界と判断し、最終報告書をゆきえさんに渡すことになった。
報告書に書かれていたのは、クロに近いグレーな状況証拠ばかりである。印象としては不倫に関してはシロ。しかし、子供の件はかなり怪しいという結論であった。ゆきえさんは、じっくり報告書に目を通し、ふぅーっと一度深呼吸をしてから担当した探偵たちに向き直った。

「わかりました。この報告書を夫に突き付けて、本当のことを聞きだしてみます。状況次第では、また相談に乗ってください」
そう言ってゆきえさんは、決意も新たに帰って行った。
不倫や浮気など、依頼者にとって決して認めたくない事実を突き付けられれば、大抵、落ち込むものだが、彼女の場合はミステリーの最終結末を見届けようという気持ちが強いように見えた。こうしたしたケースは実に珍しい。というか、彼女以外に見たことがないというのが、探偵たちの率直な感想だった。
夫が白状した「真実」
後日、ゆきえさんから弊社に報告がもたらされた。