2021.12.25
『カムカムエヴリバディ』から見えてくる「日本人とクリスマス」の絶妙な距離感
日本のクリスマスの近代史『カムカムエヴリバディ』はいきなり娘「るい」の物語に入って、おそらく多くの人がついていけないままである。
100年の話をとんとんと進めるからといって、ここまで置き去りにされるとはおもわなかった。しかたがない(第一部ヒロインがどうなったのかが40話までではまったく描かれていない)。
12月半ばくらいはまだ昭和23年が舞台で、終戦3年目にして、南方へ出征していたヒロイン安子(上白石萌音)の兄(濱田岳)が復員してきた。
安子の兄の名前は「算太」で、昭和23年の12月25日に帰還してきたとき、ナレーションでは「クリスマスに算太がやってきました」と伝えて、このために兄の名はサンタだったのかと、ちょっとしてやられた感があった。
このナレーションひとつのための命名だったのかと、その仕掛けに感心した。
「サンタ」とクリスマスを意識したドラマでもある。

しんみりしたクリスマス
昭和23年12月25日は、ヒロイン安子は、仲良くなった進駐軍の将校に、クリスマスパーティに招待される。豪華な食事をしている日本駐留の軍人やその家族に驚いている安子に、将校ロバートは「クリスマスは大切な人のことをおもう日でもあります」と教えてくれる。
「アメリカでも多くの人が亡くなりました。(…)すべての人に祈りたい、愛する人を喪ったあなたや、すべての日本人のために」と心優しいとロバートは言う。
しんみりとしたクリスマスである。お菓子をもらい、家に持ち帰って、娘のるいに渡す。
昭和23年の岡山のクリスマスである。