「子どもの成長が怖い…」、脳性麻痺の子どもを抱える40歳母親の「過酷すぎる生活の実態」

母親の犠牲の上に成り立っている障害児育児

「寝返りを打つこともできず、動くこと、食べること、排泄すること、すべてに介助が必要です。障害者手帳1級を持つ、重度脳性麻痺児です。障害児に対する手当は月5万円ほどあるだけです。これなんで5万円か知っていますか? 母親が就労できないために支払われるって自治体から聞きました。

これって、5万円あげるから、家で障害児の面倒をみなさいって言っているようなものですよね。私が働きにでることができれば、5万円以上の収入を得ることができるのに、重度脳性麻痺児を抱えていると預け先もなく、働きに出ることも厳しいです」

そう話すのは、川本沙紀さん(仮名・40歳)だ。沙紀さんの子どもは分娩時のトラブルで、脳性麻痺をわずらい出生した。

〔PHOTO〕iStock
 

小柄な母親に全体重を委ねる小学校5年生になる子どもの身長は母親に追いつこうとしている。子どもは、緊張でそり返り、奇声をあげる。緊張を少しでも緩和させようとすると、母親による抱っこが欠かせないという。

「ちょっとすみません」と母親は言うと、子どもを寝かせ、うまく唾液が飲み込めず、気管切開をしている息子の喉にチューブを入れ、ゴゴゴゴーッといわせながら、吸引を始めた。そうして、彼女はこうつぶやいた。

「子どもの成長が喜びではなく、恐怖なんです」

優生保護法が効力をもっていた一昔前の話ではない。インクルーシブが叫ばれ、“誰一人取り残さない”と声高に謳うSDGsが叫ばれているまさに今、幼い我が子を抱える母親が発した言葉なのだ。そんな言葉を発せざるを得ない社会で果たしていいのだろうか。

ここでは、脳性麻痺を持つ子どもを抱えた親の苦しみ、そして、どのような支援を必要としているのかについて紹介したい。

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