2021.12.27
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パンデミックの時代に「詩」が力を発揮!2021年必読の24冊

おうち時間に読みたいオススメ本・前編

「詩」の力を実感した一年

今年も恒例企画「年末ジャンボお勧めブックガイド」の季節となりました!

去年に引き続き、新型コロナ感染症収束ならず、東日本大震災から10年目の「復興五輪」となるはずだったオリンピックは、いつの間にか「コロナに打ち勝った証」とされ、数々の問題発言と混乱と辞任のなかで幕を閉じました。

そうしたなかでパンデミックを題材または背景にした秀作が国内外で多く刊行されたことには、一掬の救いがあるのではないでしょうか。

また、世界文学の潮流として、古典のリトールドもの(語り直し、リメイク、翻案)が挙げられます。世界の小説を対象としたブッカー国際賞は昨年、 最終候補作の半分方が古典や伝承の語り直しでしたが、今年も、とくに英米では戦争やシェイクスピアを題材にした作品が次々と刊行されました。

語り直しとは「一種の審問」だとマーガレット・アトウッドは言います。古典名作への、そしてそこに書かれた世界観への問いかけ。

ほかには、詩の盛り上がりも顕著に感じられます。パンデミックの時代に、「詩」が力を発揮するのを実感する一年でもありました。一月の米国バイデン大統領就任式では、22歳の世界的には無名の女性黒人詩人アマンダ・ゴーマンが自作の詩を朗読し、一夜にしてスターになりました。また、昨年のノーベル文学賞の受賞者は米国の女性詩人ルイーズ・グリュックでしたし、『地上で僕らはつかの間きらめく』などが翻訳されて日本でも人気のあるヴェトナム系米国作家オーシャン・ヴオンのように、小説も手掛ける詩人の活躍も目立ちます。日本では、最果タヒが短編集『パパララレレルル』(河出書房新社)を刊行しました。

 

それに加え、詩を文字で書くだけでなく声によって演じる「スポークン・ワード」というジャンルが、欧米のとくに若者の間で盛んになっており、こうしたパフォーマンス・アートの興隆とともに詩と詩人たちの活動に、文化的な磁場が集まってきているのを感じます。

そして、ノーベル文学賞はザンジバル(現タンザニア)出身のイギリス作家アブドゥルラザク・グルナに授賞。大きな国際文学賞の受賞歴のない”無冠”の大作家の快挙でした。今後の邦訳刊行が期待されます。

それでは、海外文学・日本文学というボーダーは取り払って24冊、ご紹介します。

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