完結まであと100年? 明治から120年続く「歴史プロジェクト」が壮大だった!

『大日本史料』とは何か?
「本日9月12日、(織田信長は)比叡山延暦寺を激しく攻め立て、根本中堂や山王二十一社をはじめ神仏の像や社寺、僧坊、経典をことごとく、建物一つ残さず焼き払った」

これは織田信長の事績をまとめた一代記『信長記』の一節、元亀2(1571)年9月12日に起こった、「比叡山焼き討ち」に関する部分である(訳は現代ビジネス編集部)。直後から大きな話題となったこの事件については、何人もの同時代人が日記や手紙で言及している。そのような歴史史料を余すところなく集めたのが、『大日本史料』という史料集だ。

『大日本史料 第十編之六』より
 

1901(明治34)年から刊行が始まったこの『大日本史料』は、今年で120周年を迎えた。120年間続いているだけでも壮大だが、実はいまだに「いつ完結するかわからない」と言われるほど長期的なプロジェクトでもある。その歴史的な意義やこれからの展望について、編纂を担当する東京大学史料編纂所の本郷恵子所長にお話を伺った。

東京大学史料編纂所の本郷恵子所長(史料編纂所ホームページより)
本郷恵子(ほんごう・けいこ)
1984年東京大学文学部国史学科卒業、1987年同大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、東京大学史料編纂所教授・所長。専門は日本中世史。主な著書に、『院政』(講談社現代新書)、『中世公家政権の研究』(東京大学出版会)、『怪しいものたちの中世』(角川選書)など。首相の私的諮問機関「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の第10回会合で、退位後の称号について、「上皇」とすることを提言した。

『大日本史料』とは何なのか?

おそらく大半の人が存在すら知らないであろう『大日本史料』。そもそも、どのようなものなのだろうか?

「他の国に比べて、日本には古文書や古い日記がとにかく多く残っています。それらの史料を、歴史上の出来事に関連付ける形でまとめたものが『大日本史料』になります。

それぞれの出来事について、最初に要点を簡潔に記した『綱文』という短い文章を示し、その事件に関わる手書きの史料を活字に直していきます。そういった出来事と史料のセットを時系列に並べて、ある程度まとまったところで1冊の史料集の完成です」(以下、「」内は本郷氏の発言)

1901(明治34)年に出版された『大日本史料 第六編之一』ほか(提供:東京大学史料編纂所)

関連記事