HPVワクチン、打ち逃し世代の接種がついに実現!
12月23日、厚生労働省は、子宮頸がんを予防するワクチン(HPVワクチン)に関して新しいニュースを発表した。
国がHPVワクチンの積極的勧奨を中止してた時期がある。その間、接種を逃してしまった女性(1997~2005年度生まれの人)に対して「キャッチアップ接種」を2022年4月から3年間、無料でできる機会を設けることが決定した。
接種を逃してしまうと、自費接種になり、約5万円(4価HVPワクチン全3回分)の費用がかかってしまう。打ち逃した世代からは、「打ちたいけど高くて考えてしまう」「打ち逃した世代にも無料で接種できるようにしてほしい」という声が多く上がっていた。
今回のニュースは、その声に答える形となり、SNSにも「待ち望んでいました!」「やっと打てます!」のコメントがアップされている。
全国でも、HPVワクチン接種のお知らせを積極的に行う自治体も増え、着実にHPVワクチンに対する動きが変わり始めている。だからこそ、今一度、子宮頸がんについて、HPVワクチンについて知っていただければ幸いだ。
以下は、2021年3月4日に配信したHPVワクチンに関する記事だ。若くして子宮頸がんに罹患した女性の話とともに、HPVワクチンの必要性を感じていただければと思う。
世界では接種率が7 〜8割が当たり前のHPVワクチン
HPVとは、ヒトパピローマウイルスのこと。性交渉がある男女なら、誰でも感染する可能性があり、女性がかかる子宮頸がんの主な原因となっている。最近では、中咽頭がんや肛門がん、陰茎がんなど、男性もかかるがんにも関わるウイルスであることがわかってきた。
しかし日本は、HPVワクチンの公費接種率が1%未満(※)と、極端に低い状況にある。
世界の多くの国では、女子への接種率が7 〜8割が当たり前。男女両方にワクチン接種を実施している国もある中で、日本は接種率で相当な遅れをとっている。
そして残念ながら、HPVの問題は、新型コロナウイルスほどニュースにはならない。しかし、どちらも、人々の間で広がっている感染症なのだ。長年子宮頸がんの治療に携わってきた、産婦人科医の宮城悦子さんにお話を伺った。
横浜市立大学医学部産婦人科学教室 主任教授。専門分野は婦人科腫瘍の治療と予防。日本産科婦人科学会特任理事。婦人科腫瘍の集学的治療と子宮頸がん予防、卵巣明細胞がんの腫瘍マーカーなどの様々なデータを解析調査している。
※日本では、2013年4月から小学校6年生から高校1年生の女の子は、HPVワクチンを公費でうてることになっているが、個別にお知らせが届かないこともあり、実質中止状態となって7年以上が経過した。2020年10月からは、定期接種対象者や保護者への個別お知らせが再開され、接種率の回復が待たれている。