劇場版が大ヒットした『きのう何食べた?』や『おっさんズラブ』『チェリまほ』など、同性愛をテーマにしたエンターテインメントが人気を博したのは、ここ数年のこと。そんな中、同性カップルのありふれた、しかしドラマや映画よりもよりリアルな日常が描かれていると話題のミュージックビデオ(MV)が、シンガーソングライターの天道清貴さんによる「ずっと大事な人」だ。

出典/【KIYOTUBE】 天道清貴/KIYOTAKA TENDO

清貴さんは2000年、17歳のときに「清貴」の名前でデビュー、サードシングルがドラマ主題歌になり、順風満帆だった。しかしデビューしてから15年もの間ゲイであることを言えなかったという。そんな彼がデビューから20年の月日を経て、「普通の恋愛」として同性愛のリアルを映像化したのはなぜなのか。詳しくお話を伺った。

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カミングアウトまで、苦しんできた

同性同士が愛し合っていることすら、公表してはならないと苦しむ人たちがいる。シンガーソングライターの天道清貴さんも、2015年にカミングアウトするまで、長い間苦しんできた1人だ。かつて「清貴」の名前で2000年、17歳の時にデビューし、ドラマの主題歌「The Only One」は40万枚の大ヒットを記録。カミングアウトのあとになるが、「MYVICTORY」「無限大∞」は、2018年の平昌パラリンピックのテーマソングにも選ばれている。

出典/【KIYOTUBE】 天道清貴/KIYOTAKA TENDO

若くしてブレイクした清貴さんは、その甘いルックスとともに人気を呼んだからこそ、「ゲイであること」は絶対隠さなければならないと思っていたという。

「私の場合、デビューしてから『実力派歌手』といった言われ方をしたりもしていましたが、まだ若かったので、10代や20代の頃はどこかアイドル的な感じで見られている面もありました。カミングアウトしたら、自分が終わってしまうというか。男性としての人気があるという事務所の思いもあったかもしれません。公表したらファンが離れていってしまうだろうし、事務所にも大きな損失を与えてしまうので、絶対に隠し通さないといけないんだろうなと思っていました」

そんな清貴さんの新作「ずっと大事な人」では、ごくありふれたカップルの日常が描かれている。歌詞の一部を引用しよう。

春は桜を見に行き
夏は浴衣で花火
冬は毛布にくるまって
いつも繋いでた手と手

このように、日々のささやかな幸せを感じるような歌詞で、おだやかな情景が浮かんでくる。MVでは、男性同志のカップルが、遊園地に出かけたり、花火を楽しんだり、ソファでくつろいでテレビを見たりと、「恋人同士のよくある日常」が描かれている。