彼はなぜ私とデートするのだろう?

何を着ていこうかな? 私はバックパックに入っている服を全部並べて見るもののイマイチな服ばかりで、急遽ZARAでデート服を購入。まぁ食事だけだから下着はボロボロでもいいよね? バックパッカーで下着2枚をヘビロテしてるからもう擦り切れちゃって絶対脱げないレベルだった。

-AD-

ジュネーヴでハンスと待ち合わせをすると、彼は時間ぴったりにやって来た。外国人って時間にルーズな人が多いけど、スイス人は日本人と同じ時間感覚の人が多いようだ。

仕立ての良い紺のコートに、白いパンツスタイルで爽やかにきめているハンスはビジネススクールで見たときよりもさらにカッコよく見えて、絵本に出てくる王子さまのようだった。

ていうか……彼はなぜ私とデートしてくれるんだろう? 彼にとって何のメリットがあるの? まさかこれから豹変してお金を巻き上げられるとか? 何かカラクリがあるんじゃないだろうか......? 疑心暗鬼のまま食事をしている私だったが、思い切って聞いてみた。「ハンスは女の子にモテるでしょ? 何で私をデートに誘ったの?

彼はスーパー早口の英語で答えたが、あまりに早すぎて私のリスニング能力では残念ながら聞き取れなかった。「ごめん、ゆっくり喋って」とお願いすると、「ほら、そういうところ。君って何か頼りないんだよね。僕の周りにいる女性って頭が切れて美人でスタイルも良くて野心家でパーフェクトなんだ。完璧すぎて隙がない。強くて自分で何でもできちゃうし弱音も吐かない。自立していて素晴らしいと思うけど、僕は頼られるほうがいいから、君みたいに放っておけない、どこか頼りない女性に惹かれちゃうんだよね」

「えーと、分かりやすくいうと、頭が切れなくて美人でもなくてドンくさいって感じで放っておけないってこと……?」と聞くと、「うん、そうそう、そのほうが僕が傍にいて助けてあげたいって思っちゃうんだ」と言うハンス。

早口だったがハンスとの会話は楽しく、レディファーストで紳士。クリスマスムードも相まって何だかちょっといい雰囲気になってきた。

マッターホルンの標高は4478m。ツェルマットからマッターホルンエクスプレスというロープウェイに乗車するのが一般的な行き方です。写真提供/歩りえこ