2021.12.28
# 動物

3匹に1匹の死因とも言われる猫のがん…専門医が伝えたいこと

飼い主に知ってほしいこと
飯田 一史 プロフィール

――病気になる前から飼い主が知っておいたほうがいいことは。

小林 体重減少は、がんに限らず病気の兆候であることが多いです。皮膚にしこりができたり、高齢猫で鼻血が出たりといった特徴的なサインが出るがんもありますが、そういうわかりやすい変化ばかりではないんですね。

がんは、健康診断で行う血液検査でもなかなか見つからない。でも、たとえば嘔吐や歩き方の変化など、一見がんとはあまり関係がなさそうな異変があって受診した結果、精査していくうちにがんが疑われることもめずらしくありません。今回の本には、がん以外にも病気の早期発見に役立つ「自宅でできる健康チェックリスト」なども掲載していますので、あてはまるものがあれば獣医師に相談されたほうがいいかと思います。

 

専門医が発信する「正しい知識」を

――「ネットの情報を鵜呑みにしないでほしい」と本にありましたが、たとえば注意を喚起したいことにはどんなものがありますか。

小林 ネットには猫のがんに効くと称するサプリメントや免疫治療の情報が飛び交っていますが、現時点で、猫への安全性と効果が確認されている免疫治療はありません。そもそも免疫は普通、カビや細菌のように身体の外側から入ってきたものを攻撃するものです。

ところが、がん細胞は何ヶ月も、場合によっては年単位をかけてほかの正常な自己の細胞と似たようなものとしてゆっくり生まれ育つものであるがゆえに、身体が許容してしまうのが特徴です。ですから、一度がんが体に宿ってしまうと、免疫が自己とがん細胞とを区別して攻撃することは難しいんですね。

免疫治療というものは、言葉の響きから想像されるような簡単なものでもマイルドなものでもない。漠然と「免疫を高めればいい」というのは数十年前に唱えられた考えで、現在の免疫治療はもっと複雑です。現時点では、猫のがん治療において、「三大治療法」と言われる外科療法、化学療法、放射線療法が基本になります。

わらをもつかみたい気持ちはとてもよく理解できますが、免疫治療に限らずみなさんにお伝えしたいのは、「これで治った」といった「個人の感想」を真に受けて「うちのニャンコにもきっと効果がある」と過度な期待をするのは危険、ということです。

SPONSORED