インコとカラスが東京の空で生存を懸け、血で血を洗う闘いを始めた時、どのような惨状が繰り広げられるのか。ハトなどの鳥類も殺してしまうほど獰猛なことで知られるカラスが、インコを次々と駆逐していくと想像する方も多いだろう。幸島氏が語る。
「私がかつて東京工業大学に赴任していた時、木にとまっているインコめがけてカラスが突進していき、インコを捕まえて食べてしまうというショッキングな場面に出くわしました。
校舎の屋上に行くと、カラスにやられたインコの死骸や骨が散らばっているのを見たこともあります。
しかし、インコの方もただ黙って食べられるわけではありません。群れに近づいてきたカラスを何十羽ものインコが追いかけまわし、逆に追い払う場面もありました」
都会のオアシスは戦場に
帰化鳥類研究会代表の日野圭一氏もインコとカラスが争う場面を目撃している。だが、その時は一転してインコが優勢だった。
「ワカケホンセイインコは、カラスと戦う時、空中で体当たりをするんです。彼らは急上昇や急旋回といった飛び方ができる上、飛行中の最高速度は時速70kmに達します。
飛行能力はカラスより上どころか、狩猟用のオオタカに匹敵するほどです。それに、嘴も鋭いため噛む力も強い。人間が噛まれたら肉が削がれてしまうほどです」

インコは、自分たちのねぐらに侵入してくる外敵に対しては集団で立ち向かっていく。こうなった時、カラスは1羽や2羽では太刀打ちできないだろう。だが、もしカラスもまた集団となって襲ってきた場合、インコが勝つか、カラスが勝つかは予想がつかない。