2021.12.23
# 科学史

12月23日 英の発明家アークライト誕生(1732年)

サイエンス365days

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1732年の12月23日、「水力紡績機」の発明者として知られ、産業革命期を代表する事業家でもあったリチャード・アークライト(Richard Arkwright, 1732-1792)が誕生しました。

イギリス北西部のランカシャーで貧しい農家の末っ子として生まれたアークライトは、理髪師の従弟となって床屋としてのノウハウを学び、ボールトンで独り立ちして開業、かつらの制作などを生業としました。

リチャード・アークライト(Richard Arkwright) photo by GettyImages

当時のイギリスはどんどんと工業化が進み、資本主義への足がかりができ始める産業革命期でしたが、アークライトも1760年代ごろから綿花を原料として綿糸を作る機械である紡績機に興味を持ち始めました。

それまでもハーグリーヴスのジェニー紡績機など、織物を作る際に使用する紡績機は存在していましたが、基本的には人力で動かすものであり、織物の経糸(たていと)に使用するような強度の高い糸を紡ぐことはできませんでした。

アークライトは異なる速度で回転する2対のローラーで繊維を伸ばす機構を開発し、ある程度強度がある糸も作れる紡績機の特許を獲得しました。

ちなみに、経糸は織物を作る際に縦に伸ばす糸のことで、制作開始前に用意した経糸次第で作成する織物の長さや幅が決まってきます。この経糸を途中で継ぎ足すことは容易ではありませんので、制作前からかなり気を配る必要があるかなり重要な部分です。

ここまででもかなり先進的であったこの紡績機ですが、より革新的な点は、熟練の職人が不要であったこと、そして人以外の動力源によって動かすことができたことが挙げられます。これによって産業革命にとって欠かすことのできない「大量生産」の体制が整ってきました。

1771年、アークライトはこの紡績機を用いた工場である「クロムフォード工場」をダービーシャーに設立します。そこでは水車を動力源として紡績機を動かすことが可能であり、そこからアークライト発案の紡績機には「水力紡績機」という名称が付けられました。

アークライトの「水力紡績機」 photo by GettyImages

この工場の開設により、インドから輸入されてくる大量のキャラコを素早く加工することが可能となったほか、アークライト自身もここから事業家としての道を歩み始め、各地に同様の工場を作ることで北イングランド木綿繊維工業の基礎を築きました。

このように発明のみならず産業革命期の代表的な事業家としても後世に名が残ったアークライトですが、晩年にはワットの発明した蒸気機関を動力源にするなど死の間際まで自身の作った紡績機の改良に努めていたようです。

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