さらに高度な内容
さらなる先に行きたい、という野望があるような人はそもそも本書を読んだりしないとは思うのだが、将来いわゆる研究者になりたいと思うような人が読む本をたくさん紹介しておく。こういう本は腐るほど出版されている。2つだけお勧めのシリーズを。
岩波データサイエンス(Vol.1~6)(岩波書店)2015年~2017年
- Vol.1:特集:ベイズ推論とMCMCのフリーソフト
- Vol.2:特集:統計的自然言語処理――ことばを扱う機械
- Vol.3:特集:因果推論――実世界のデータから因果を読む
- Vol.4:特集:地理空間情報処理
- Vol.5:特集:スパースモデリングと多変量データ解析
- Vol.6:特集:時系列解析――状態空間モデル・因果解析・ビジネス応用
データサイエンスについて、これでもか、というほど説明したシリーズ。サポートページ(岩波データサイエンス:https://sites.google.com/site/iwanamidatascience/)には本で紹介した内容を実行するのに必要なプログラムがたくさんリンクされている。
機械学習プロフェッショナルシリーズ(講談社サイエンティフィク)2015年~
- 須山敦志「ベイズ深層学習」
- 森村哲郎「強化学習」
- 持橋大地/大羽成征「ガウス過程と機械学習」
- 篠田浩一「音声認識」
- 坪井祐太/海野裕也/鈴木潤「深層学習による自然言語処理」
- 原田達也「画像認識」
- 清水昌平「統計的因果探索」
- 金森敬文/鈴木大慈/竹内一郎/佐藤一誠「機械学習のための連続最適化」
- 畑埜晃平/瀧本英二「オンライン予測」
- 石黒勝彦/林浩平「関係データ学習」
- 佐久間淳「データ解析におけるプライバシー保護」
- ダヌシカ・ボレガラ/岡崎(さきは、上のつくりが立つ)上直観/前原貴憲「ウェブデータの機械学習」
- 本多淳也/中村篤祥「バンディット問題の理論とアルゴリズム」
- 渡辺有祐「グラフィカルモデル」
- 鹿島久嗣/小山聡/馬場雪乃「ヒューマンコンピュテーションとクラウドソーシング」
- 佐藤一誠「ノンパラメトリックベイズ」「点過程と統計的機械」「学習の数理」
- 中島伸一「変分ベイズ学習」
- 冨岡亮太「スパース性に基づく機械学習」
- 瀬々潤/浜田道昭「生命情報処理における機械学習 多重検定と推定量設計」
- 河原吉伸/永野清仁「劣モジュラ最適化と機械学習」
- 金森敬文「統計的学習理論」
- 鈴木大慈「確率的最適化」
- 井手剛/杉山将「異常検知と変化検知」
- 竹内一郎/烏山昌幸「サポートベクトルマシン」
- 杉山将「機械学習のための確率と統計」
- 岡谷貴之「深層学習」
- 海野裕也/岡野原大輔/得居誠也/徳永拓之「オンライン機械学習」
- 岩田具治「トピックモデル」
これはもう本格的で網羅的な機械学習シリーズである。これを全部勉強した人は専門家でもなかなかいないだろう。全部勉強するようなものではなく、取捨選択しておもしろそうなもの、興味ある部分を深掘りするためのシリーズである。

「機械学習とは何か」源流を訪ねる
本書でも述べたように、機械学習の源流は物理学にあった。だが、その後、機械学習はすっかり物理から離脱して全く別の場所で発展した。物理学者が機械学習の重要性に気づいたのはごく最近のことだ。
橋本幸士編「物理学者、機械学習を使う―機械学習・深層学習の物理学への応用―」(朝倉書店)2019年
本書は、「機械学習を使って物理学で何ができるのか」というテーマで、物性、統計物理、量子情報、素粒子・宇宙の4つの部門で解説する。しかし、なによりも、その行間に満ちている、機械学習に「再会」した物理学者の感動と興奮が伝わってくるのだ。こちらもお薦めしたい1冊である。
著者・田口善弘、待望の新刊!