中国・中央経済工作会議の中身から「習近平体制転覆の可能性」が見えてきた

中国経済の目も当てられない実情
朝香 豊 プロフィール

習近平がもたらした経済の混乱

中国では現在、ありえない規模での失業が広がっている。学習塾禁止令によるものだけでも中国内の失業者は直接的に1000万人程度増加したと見られており、関連業界まで含めると3000万人の雇用に影響しているのではないかと見積もられている。

中国では、農民工と呼ばれる出稼ぎ労働者にははじめから失業手当が受けられる資格がないと考えた方がいい。失業手当が受けられる都市住民にしても手続きや給付条件が煩雑だったりすることで、失業しても失業手当の申請はなかなか行わないのが普通であった。

だが、今年の第二四半期にかつては十万人程度で長年安定していた上海の失業保険の受給者数が50万人を突破するところまで伸びた。そこまで中国の失業をめぐる状況は深刻になっている。

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アリババ、テンセント、DiDi、美団などのIT企業いじめによって、これらの企業の収益力は大幅に低下している。こうした中、株式調査大手CFRAのジョン・フリーマン氏が、アリババ株に上場廃止のリスクがあると警告したことが報道された。

だが、中国共産党の習近平総書記は中国国内の規制強化に関して「一歩も引かない」と述べ、IT系企業に対する締め付けを緩める意思がないことを明確にした。こういう環境の中、中国内でも最も勢いがあると思われてきたバイトダンス(TikTokなどの運営会社)ですらリストラが行われるほどに経済の落ち込みが進んでいる。

電力不足による製造業の生産制限は、一時から見ればかなり改善したとはいえ、未だに続いている。ブリヂストンが中国広東省のトラック・バス用のタイヤ工場を12月末に閉鎖すると発表したが、この撤退にはやはり電力不足も影響しているようだ。

中国が2017年に制定した「サイバーセキュリティ法」によって企業がデータを中国国内で保管することが義務付けられ、保管データを中国政府に自由にアクセスできるようにしなければならなくなった。今年に入ってこの流れは「データ安全法」や「個人情報保護法」によってさらに強化されている。

 

中国海域で船舶信号が90%も減少したことが伝えられたが、これも、中国の海域に入ったら船舶信号を切らないと、法令違反で摘発される恐れを感じているからである。こうした規制強化に耐えかねて中国から撤退する企業も増えている。このように習近平がもたらした経済の混乱は笑えない規模で広がっているのである。

中国政府は経済成長が鈍化してきたことは認めているが、未だにマイナス成長に落ち込んだことは認めていない。だが、上記のような実情を考えた場合、すでに経済が大幅なマイナス成長に陥っているのは確実であろう。

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