トラブルメイカーの新任米国駐日大使、ラーム・エマニュエルの実像

これがバイデンの「日米関係重視」

揉めていたのに突然の通過

読者の皆さんは、何かのニュースを聞いて、がっかりしたことがあるだろうか。最近、筆者が最もうんざりしたのは、12月18日、米国の上院本議会が、次期駐日米国大使として、ラーム・イスラエル・エマニュエル氏を承認したとの記事だった。

2021年春、同氏がジョー・バイデン政権に指名されるとの報道があった以来、彼についての本や彼が書いた本をはじめ、関係者の取材をしながら、彼がどういう人物か調べてきた。

最初のうちは、彼が「如何に相応しくないか」と言う程度の感想だったが、調べが進むにつれ、本当にダメだと確信できた。そのため、10月20日の上院外交委員会で突然に決まった承認審議の直前に、「バイデン大統領よ、エマニュエル氏の指名を取り下げなさい」と題する論点をある英字紙で発表して、多くの賛同を頂いた。

しかし、大統領府はこの警告だけでなく他の様々な警告も無視した。同委員会や本会議では、エマニュエル氏の諸問題について指摘がなされ、承認が進まなかったが、ついに先日の夜中にまた突然に決定された。

本会議ではエマニュエル氏本人をはじめ、その過程についての様々な問題があったためか、100人の議員のうち、わずか48人の「Yea」(賛成)しかなかった。本来ならば、成立しないはずだが、なんと31人が欠席していたので、投票した69人の議員の過半数になった。

面白いことに、反対票(Nay)を入れた議員は影響力のある大物で、ほとんどは、野党の共和党だった。つまり、対日政策をリードする駐日大使は、超党派の支持を受けていないのである。米国の対日政策は、本来、超党派外交で行っている。ところが、重要な人事である今回の駐日大使候補に対して共和党が心より支持できない人になっている。

これは共和党だけでない。6人の共和党議員は賛成を入れたが、これに対して、3名の民主党議員は反対に回った。さらに、ティム・ケイン元副大統領候補を含む6人の民主党議員が棄権した。つまり、エマニュエル氏は同じ民主党の仲間に相当嫌われているわけである。

オバマ政権・主席大統領補佐官辞任発表をするエマニュエル(右)とオバマ大統領 by Gettyimages

これは日本政府にとって心配の種になるはずだ。なぜなら、日本政府は、各国、特に米国の駐日大使に、本国、とりわけその首都において影響力のある人が派遣されることを期待しているからだ。大使がその政府や議会に対して、受け入れ国である日本が依頼していること、望んでいることを代弁してほしいからだ。

 

その意味で確かに問題がある。この半年、承認が難航していたのは、審査の中で、エマニュエル氏についてより知ることで、大使に相応しくないと思った議員が多くなったことを意味する。エマニュエル氏は、議会の十分な支持を得ているわけではない、弱い大使として着任することになる。

実は日本政府にとってもう1つ懸念材料がある。それについては、エマニュエル氏が何者であるかを見てから、最後に紹介したいと思う。

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