2021.12.25
# 就活

「大学の勉強なんて社会に出てから役に立たない」はウソだった?

大規模調査から見えた意外な実態

河合塾と株式会社リアセックが開発したPROGという全国501の大学・短大で採用されている、大学生のジェネリックスキル(コミュニケーション力や批判的思考力など、さまざまな状況のもとで活用できる社会人としての基礎力)を測るテストがある。
このPROGの受検経験のある2013~16年度の大学卒業生(社会人3~5年目)約1500人を対象に全国13大学の協力を得て追跡調査を行った結果が『PROG白書2021』として発表された。

しばしば「大学の勉強なんて社会に出てから役に立たない」と言われるが、はたしてどうなのか? 同調査のプロジェクトメンバーであるピックアンドミックス代表取締役・松村直樹氏とリアセックキャリア総合研究所所長の角方正幸氏に訊いた。

 

大学で積極的に学んだ経験は仕事の満足度につながる

――今回の調査結果からは、大学での学びのどんなことが仕事に役立ち、どんなことはそうでもないと言えそうなのでしょうか。

松村 今回は大学3年時に測定したPROGの客観的なスコアが、社会人3~5年目現在の仕事に対する自己評価や満足度(主観的な評価)とどうつながるのか? を調べました。

今回の調査では、PROGで「コンピテンシー」と呼んでいるコミュニケーション・スキルや問題解決力、社会的関係形成力などのスコアの高低が、社会人になったあとの仕事に対する自己評価に直接影響があることを時系列で証明できました。たとえばコンピテンシーのスコアが1動くとそのうち29%が仕事の評価に影響する。けっこうな割合で過去の成績が現在に影響しています。

ここ10年ほど、多くの大学が社会的な要請に応えて従来からの教養や専門教育に加えて、このコンピテンシーに該当する実践的な力、行動スタイルを学生に身に付けてもらうことをDP(ディプロマ・ポリシー/教育目標・卒業要件)として掲げ、カリキュラムに組み込んできましたが、学生時代にこうした能力を身に付けておくことは、実際に社会に出てすぐ役に立つと言えることが証明できたと言えます。

角方 もうひとつ重要なこととして、私たちが「リテラシー」と呼んでいる論理的な思考力、および「授業科目の習得度」について、これまでの調査では「仕事に対する直接的な影響はない」という結果になりがちだったのですが、今回パス解析(パス図を用いて変数間の関係を明らかにするための分析)を行うことで、実は間接的に関係があることを明らかにできました。

――たとえば大学で人類学や文学などの科目にかなり積極的に取り組んで良い成績を収めたとして、そうした専門知識が直接仕事に役に立つわけではないけれども、間接的には役に立っているということですか?

松村 GPA(大学の成績)が高かった人たちは、専門科目や教養科目に積極的に取り組んできたということですよね。そのことは論理的思考力を高める訓練にもなるし、また、キャリアを自分で切り開いていけるという「キャリア自律度」(自信・効力感)や「自主的な学び」(主体的で継続的な学習習慣)につながる。そしてそれらが仕事の満足度に影響している。その流れが今回の調査でわかりました。長期的に見ると、大学で積極的に学んだ経験は仕事の満足度につながり、仕事満足度はさらに職場での成長実感や仕事の意欲度につながっています。

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