スターの孤独とは?
ところが、2人の関係を世間は「年の差が離れすぎている」「ルネがセリーヌを利用している」と批判し続けた。映画ではセリーヌがツアー中に「私、疲れすぎているの」と崩れ落ちそうになるシーンがあるが、ルネは世間が言うようにセリーヌを利用していたのかーー? そのシーンについてルメルシエ監督は次のように言う。
「長いツアーから来る疲労、劇場を満席にしなければいけない責任感、カラダと声のコンディションをいつも良いものにしておかなくてはいけないというプレッシャー……歌手はそういったものに押しつぶされそうになるんです。私も経験がありますが、ショーの観客の熱気で興奮した後に、ひどい孤独を感じてしまう」
そして、ルネとセリーヌの関係性についてこう続ける。
「ルネはプロデューサーというキャリアを諦めようとしていたときにセリーヌと出会いました。ルネはセリーヌをスターにしましたが、セリーヌもまたルネを救ったんです。ルネがセリーヌに仕事を押し付けたと批判する人もいますが、彼女にも大きな野望があった。彼がいたからセリーヌはシンガーとして大成し、ほかのスターのようにお金やドラッグにのめりこむことなく歌うことだけができた。彼らはお互いがお互いを見つけたソウルメイトだったんです」
お互いの夢を助け合い、補い合った2人は真に"対等の恋人"だった。26歳の年の差など彼らにとってはどうでもよいことだったのだ。だからこそ、セリーヌを愛した両親やきょうだいも2人を祝福したのだろう。
◇こうして26歳の年の差婚があって世界の歌姫となったセリーヌ。しかしその人生には壮絶な続きがあった。後編「セリーヌ・ディオンの「壮絶人生」6度の体外受精、26歳年上夫の闘病と死」で詳しくお伝えする。
【参考】
※1…The Truth About Celine Dion's Marriage To Rene Angelil ― The List
※2…Celine Dion’s Infertility Struggle & 7 IVF cycles ― Infertility Aide